ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす
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なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
斎藤環(つくばダイアローグハウス院長/筑波大学名誉教授)
「心の謎」はどのように解き明かされてきたのか。フロイトが関わった「お話し療法」から体系化が進む精神分析の歴史とその概念を手すりに、ラカンの精神分析について解説しながら心の問題と言語との関係、その起源に迫るシリーズ講義。第1話では、ヒステリー治療の起源から、自由連想法やトラウマ、自己愛(ナルシシズム)まで、現代にも通じる心のメカニズムの基礎を学んでいく。(全7話中第1話)
時間:11分23秒
収録日:2025年12月8日
追加日:2026年6月15日
≪全文≫

●精神分析の歴史――アンナ・Oと精神分析お話し療法


 筑波大学名誉教授、つくばダイアローグハウス院長の斎藤環と申します。本日はラカンの精神分析とその周辺についてお話しさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いします。

 これはフランスのサルペトリエール病院というところでなされていた、シャルコーという人の講義の風景です。

 シャルコーは、フロイト以前にフランスでたくさんのヒステリー患者(の診察を行っていました)。スライドの真ん中の黒い服を着たシャルコーの前に少し失神したような女性が映っていますけれど、この方がヒステリーの患者です。シャルコーは自分が診ているヒステリー患者を――「患者供覧」といいますけれど――学生たちの前で提示して、治療の方法について説明するという講義をしていましたけれど、この講義にフロイトも参加していたことが知られています。つまり、彼の講義が精神分析の起源にあったといってもいいわけです。

 当時、治療を受けていたヒステリーの患者さんの写真集があるのですけれど、これはその写真です。奇妙な格好をしたり、奇妙な表情をしたりしていますけれど、彼女たちはいずれもヒステリー症状を示していたと考えられています。

 当時は、いろいろな症状が出るので、神経に異常があると考えられていたわけですけれど、どんなに検査をしても異常は見つからないので、「これは一体どうしてこういう症状が起こるのだろう」ということで謎の病気と思われていた節もあります。けれど、フロイトが初めてといってもいいと思いますが、その治療に成功したということで、精神分析が創始されたという経緯があります。

 これ(スライド)は最初の精神分析的な治療を受けた女性の写真です。真ん中に「Anna O.(アンナ・O)」と書いてあります。匿名ですけれど、この女性が左側のヨーゼフ・ブロイアーという人の治療を受けていたのですが、なかなか改善しない。神経性の咳とか、いろんな症状があったのですけれど、なかなか症状が改善しないということで、ブロイアーが友人のフロイトに相談をしたので、フロイトはいろいろと助言をするわけです。

 治療の中でアンナさんが...

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