「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス
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「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
経営ビジネス
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
過去の新聞や雑誌を読み返すと、本質が見えてくることがある。例えば、昨今、大問題となっている人口減少は、実は戦前から、ついこの間まで、日本にとっては悲願だった。しかし、一度、それが達成されると、一転して人口減で日本は沈没すると喧伝される。同時代の罠に惑わされないためにも、「逆・タイムマシン」に飛び乗る必要があるのだ。(全3話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分55秒
収録日:2020年9月18日
追加日:2020年11月5日
≪全文≫

●なぜ新聞・雑誌は10年間寝かせるとよいのか


楠木 今度出る本なんですけれども、『逆・タイムマシン経営論』(2020年10月発刊)という本です。

―― 「逆・タイムマシン経営論」ですか。

楠木 「タイムマシン経営」という言葉がありますよね。

―― 孫正義さんの得意技ですね。

楠木 はい。要するに、未来は偏在していて、すでにどこかにあるという考え方です。例えば、シリコンバレーに行けば、未来はすでに実現されているので、そこの技術、経営手法を日本に持ってくることによって、アービトラージ(裁定取引、サヤ取り)が可能になります。

楠木 これが、タイムマシン経営なのですが、「その逆はどうなのか」という発想で書いた本です。

―― なるほど。

楠木 過去、近過去の事実、また、そのときに人々が何を考えて、どのようなことを言っていたのかは、古新聞、古雑誌を見れば、すぐに分かります。

―― 確かにそうですね。

楠木 だから、「逆・タイムマシン経営論」では、「新聞、雑誌は10年間寝かせて読め」と言っています。例えば最新号の『日経ビジネス』を読んでも、ちっとも面白くないのですが、20年前の記事は最高に面白いという話なのです。今から過去の記事を振り返る。つまり、タイムマシンに乗って、近過去にさかのぼるなら、同時代のいろいろなノイズがないため、本質的な論理が、非常に鮮明に見えるのです。当然、歴史の中で物事は変化していきますが、それでも変化しないものが本質ですよね。ですから、多くの人が、「本質を見よ」とか「大局観を持て」と言っていますが、逆・タイムマシン経営論は、そのためのセンスを自分で磨く、かっこうの方法論だと考えたわけです。

―― 確かに、不易流行の不易だけがずっと見えてきますよね。

楠木 そうなのです。高浜虚子の有名な俳句「去年今年(こぞことし)貫く棒の如(ごと)きもの」の「貫く棒の如きもの」というのが本質なのです。

―― なるほど。

楠木 本を書くために、高度成長期くらいから最近までの、ありとあらゆるビジネスの雑誌や新聞を読み返す作業をやっておりました。

―― それは、面白いですね。1960年代くらいからですか。

楠木 もうちょっと前の1950年代くらいからですね。主としては『日経ビジネス』ですが、この50年間くらいをカバーしているので、それを見ていきました。

―― なるほど。

...

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