「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴史はファクトフルであると同時にパストフルである
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(3)歴史は最高の教材
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
フランスを代表する哲学者・モンテーニュは、迫り来るペストの脅威の中、いつもと同じように農作業に精を出す農夫の姿を見て、我に返ったという。現代を憂い、未来を予測して落胆するのが人間の性、思考の癖であると理解した上で「歴史」に学べるか否かが、日本の未来を左右する。(全3話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分39秒
収録日:2020年9月18日
追加日:2020年11月5日
≪全文≫

●近過去の史料のほうから見えてきたこと


楠木 「国、リーダーは意志決定できないで思考停止している」「老害がバブルにしがみついて、日本は沈没する」「1人当たりGDP2位でも沈没」「今、26位くらいでも沈没」「人口が増えても諸悪の根源」「人口が減っても諸悪の根源」と言う……。どうすればいいのだと。だから、われわれにはリーダーが必要なのだと。

 話を戻しますと、1人当たりGDPというのは、じっくりと眺めていると、つくづく面白いと思いますね。小国有利ですから、当然、大国劣位ということになります。中国が世界第1位の経済大国になるのは時間の問題だと思いますが、あれだけの人口を抱えているため、中国がどんなにプレゼンスを上げて豊かになったとはいえ、18年のIMF統計ですが、中国は、赤道ギニアよりも下なのです(中国が69位、赤道ギニアが68位)。

―― 1人当たりだと下ということですね。

楠木 それはなぜかというと、分母が大きいからです。

―― 人口が約14億人もいればそうなりますよね。

楠木 ええ。ですから、仮に1人当たりGDPが豊かさを示しているとしたら、分母が小さくなるのは、基本的にはいいことなのです。

 ですから、人口減一つとっても、繰り返しになりますが、その過程で大変なことが起きるのではないかというのはその通りなのですけれど、そこはわれわれが挑戦するべきところで、そこさえ乗り越えれば、ポジティブなビジョンを描けると思うのです。

 例えば、他殺というのが、死のリスクの1つとしてあるわけですが、日本の10万人当たりの人数の小ささには驚愕しますね。日本は0.2程度で、それより低い国がどこかといえば、バチカン、モナコ、アンドラ…。

―― なるほど。

楠木 シンガポールも入っていますが、5カ国しかない。これだけ他殺が少ないという意味で治安がいい国は、「どうやってできているのかな」というくらい、すごい達成だと思うのですよ。明らかに、昭和時代のほうが物騒だったと思います。

―― (当時のほうが)よほど殺されていたと。

楠木 ですから、こういう偉業を達成できる国というのは、成熟の1つのいい面だと思うのです。

―― 他殺率が10万人当たり0.2というのは、すごい数字ですね。

楠木 すごいと思います。

―― ある種、理想社会をつくっているわけですね。

楠木 ある面では、ですね。いいところのそのすぐ裏側には...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
グローバル環境の変化と日本の課題(6)組織改革と課題解決のために
働き方改革の鍵はエンゲージメント、経営者の腕の見せ所
石黒憲彦