独裁の世界史~ヴェネツィア編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ヴェネツィアがナポレオン登場まで共和政を維持した理由
独裁の世界史~ヴェネツィア編(1)ヴェネツィアの成立
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
現在も「水の都」と親しまれるヴェネツィアは、海運と交易により発展した国家である。彼らの政治形態は「小さな政府」を志し、5世紀の成立以来ナポレオンが登場する19世紀まで共和政の基本を崩さなかった。なぜそんなことが可能だったのだろうか。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分55秒
収録日:2019年12月19日
追加日:2020年5月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●ナポレオン登場まで共和政を守ったヴェネツィア


―― 「独裁の世界史」、ローマに続いて今度はヴェネツィアのお話をうかがいたく思います。前のローマ編では、500年続いた共和政がだんだん変質していき、最終的には五賢帝の時代を経て、ついに元老がローマ皇帝の臣下的な立場になっていくということでした。

 一方、ヴェネツィアの歴史は5世紀ぐらいから始まり、最後はナポレオンに征服されるわけですが、その間は共和政的なものを比較的維持できたという認識でよろしいでしょうか。

本村 前期においては純粋に共和政的なものと言っていいと思いますが、やはり後期になるとだんだん共和政も変質していったと捉えることができるでしょう。ただ、ローマのように帝国といった形にはなりませんでした。ヴェネツィアがどのようにして共和政国家をできるだけ守っていったかということは、やはり世界史の中で非常に大きな意味を持っていると思います。

―― そこは面白いですね。ナポレオンは1800年代まで活躍するので、ヴェネツィアは5世紀以降1400年近く、形を変えつつもずっとその体制を続けていったことになります。ローマの場合は、どんどん市民権が拡大して、ローマの域内だったものもどんどんと拡大した。おそらくそれによって、元老院のあり方などもいろいろ変わっていったところがあると思います。そのあたり、ヴェネツィアは、長い歴史としてどういう形を取っていったのでしょうか。

本村 ヴェネツィアは基本的に最小面積で最小人口という国家であったにもかかわらず、最強の通商交易国家でもありました。つまり、自分たちが実際に住む場所としては、ヴェネツィアという極端に狭い地域に閉じ込められていながら、実際に活動する場は地中海全域に及んでいるという形でした。


●ゲルマン諸族の侵入を避け人工島に国家を創設


本村 彼らは5世紀の、ちょうどローマ帝国が衰退した時期にゴート族やブルグント族といったゲルマン諸族の侵入を受け、その侵入による難を避けるためにラグーナ(潟)に移住します。

―― 干潟ですね。

本村 そうです。潟に人々が移住した。しかし、そこに移住してきた最初の頃は、あくまでもゲルマン人がやってきたから避難したという形でした。ラグーナというのは、その中がきちんと整備されないと簡単に住めるものではないのですが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子