モンゴル帝国の世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
オゴデイ、フビライ…モンゴル帝国の継承争いと各地への影響
モンゴル帝国の世界史(6)モンゴル帝国、分裂へ
宮脇淳子(公益財団法人東洋文庫研究員)
チンギス・ハーン亡き後、子孫の間で継承争いが起こるようになり、広大な領土が分裂していくことになる。そしてそれぞれの子孫は、のちのロシアやインドといった地域に残り続ける。ここではチンギス・ハーンによる継承国家の系図を見ながら、いかにユーラシア大陸の多くの地域がモンゴル帝国と関わりがあったかを確認していく。(全7話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分45秒
収録日:2022年10月5日
追加日:2023年2月4日
≪全文≫

●2代目盟主の後から継承争いが起こる


宮脇 もちろん、これ(スライドにあるようにモンゴル帝国が広がったの)はもう孫の代になります。

―― 孫の段階ですね。

宮脇 チンギス・ハーンは、あの時(編注:西夏遠征)そこの地で亡くなってしまいます。そこで息子のオゴデイが2代目の君主になります。オゴデイが2代目の時はまだよかったのですが、オゴデイが死んでしまったら、いとこ同士で喧嘩になった。なぜなら、これだけ(領土が)広かったら、集まるのは大変ですから。

―― それはそうですね(笑)。

宮脇 それで、「お前のところはもう勝手にやれ」という具合になって、半ば分裂してしまった。でも継承国家ではあるわけです。

 だから、色分けをするのは微妙なのですが、この色分けの境目のコーカサスあたりでジョチ家とイル・ハーン家は紛争しています。

―― そのあたりは仕方がないところですね。

宮脇 あそこはうちの家来だ、いや、こちらの家来だ、と。土地争いではなく、人間を取り合うのです。

―― なるほど。

宮脇 ともかく接触しているところは仲が悪いのです。だから、元朝とジョチ家は仲がいい。でも、オゴデイ家、チャガタイ家と元朝は仲が悪い。

 ただし、商人だけは保護しました。そうしなければ自分たちの得にならないからです。商売は保護したけれども、やはり財産争いにはなるので、分裂してしまった。

 ですから、日本人や中国人はすぐ「元朝=モンゴル帝国」というのですが、それは違います。全部が元朝だというと、今のロシアも中国がそのうち取りに来るよと。

―― そういうイメージになってしまいますね。

宮脇 元はあくまでも東の宗主国で、全体の4分の1くらいしかないですよ、ということを言わなければいけません。


●子孫が増えすぎて継承争いが熾烈に


―― この時は一応、フビライがハーンだったのですか。

宮脇 フビライがハーンになった時には、ハーンが2人いたのです。

―― もう並立しているということですか。

宮脇 違います。兄弟で継承争いをしました。兄弟で継承争いをしたので、ジョチやイル・ハーンは「うちは知らん、勝手にやれ」「うちもハーンだ」と言って、イル・ハーンとか、それから黄金のオルドもハーンと名乗り、ハーンが何人もできるわけです。それから、チャガタイとオゴ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子