モンゴル帝国の世界史
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千人隊、略奪品分配…最強モンゴル軍を生んだ単純な仕組み
モンゴル帝国の世界史(4)強さの秘密と全戦全勝の仕組み
宮脇淳子(公益財団法人東洋文庫研究員)
なぜモンゴル帝国は圧倒的な強さを発揮したのか。その一つは、軍の編成がシンプルかつ把握が容易だったこと。そして、戦利品を兵隊のみならず全構成員にいきわたるようにしていたことにある。モンゴル帝国が全戦全勝を重ね、次々と力を持つに至ったその裏側を解説する。(全7話中4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分55秒
収録日:2022年10月5日
追加日:2023年1月21日
≪全文≫

●モンゴル帝国は本当に大虐殺を行なっていたのか


宮脇 モンゴル帝国は、だからその担い手にとっては全然悪くなかったのです。もちろん、やられるほうは大変だったと思いますが、でも大虐殺があったなどというのは見た人がいない。これは書き手の問題です。

―― 確かにモンゴル帝国というと、降伏勧告を送って、従わなかったら皆殺し、といったイメージがありますけれど。

宮脇 実際に(虐殺を)行ないはしたのですよ。降伏勧告を送り、(従わなかったら)見せしめとして、陥落しなかった、つまり自分たちの家来にならなかった町は全部滅ぼしたといったことはあった。それは記録にあるのですが、でも書いた側が滅ぼされた側なのです。例えば「ヘラートで160万人を大虐殺」などといっているけれども、5年後に町が商売で復興していることを考えると、その数字ではないでしょう、と。

―― 本当に皆殺しをしたのかどうか、ということですね。

宮脇 それから、金や南宋をモンゴルが滅ぼしていくわけですが、漢籍には皆殺しの記録はほとんどないのです。

 金の中都(今の北京)は包囲作戦で、かなり大変だったことは確からしい。つまり、食料がストップしたりして、ひどい目に遭ったから落ちる。でも、それは漢籍ではいつものことで、モンゴルだけではないのです。

―― 中国のいろいろな歴史による攻防では、ずっとあったことですね。

宮脇 だから、あまり書かないのです。イスラム教徒は、それまでの戦争が人殺しをほとんどしないネゴシエーションだったので、カルチャーショックが大きかったのです。

―― それは、今の日本人によるイスラム教へのイメージからすると、ずいぶんと違うところですね。

宮脇 イスラム教徒同士の戦争は、少し戦ってダメだったら「もうこちらは負けたことにしよう」とか、それから人質は身代金をたっぷり取れるから大事にして送り返そうなど、そのようなことをしていた。だから、モンゴル人が原則通りに本当に殺したというので、ショックが大きかったと言われています。

 もう1つは、モンゴル人が自分たちで「虐殺した」と大宣伝したという説もあります。そうすると、次の町がすぐ落ちるでしょう。

―― 確かに、「やられては困る」ということになりますね。

宮脇 その2通りあるようです。

―― では、あの(虐殺の)イメージも100パーセント信じ過ぎてしまうと、や...

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