モンゴル帝国の世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
モンゴル帝国の急拡大の理由は「イスラム商人」と「神託」
モンゴル帝国の世界史(3)イスラム教徒の存在と「神託」
宮脇淳子(公益財団法人東洋文庫研究員)
モンゴル帝国が世界帝国として一気に拡大した背景として重要なのは、イスラム教徒の存在である。東西交易の商業を担っていた彼らは、そのために必要な情報を持っていた。さらに影響が大きかったのが、チンギス・ハーンに降りた「神託」であった。モンゴル全体に強い力を生み出し、西へ西へと版図を拡大した背景に迫る。(全7話中3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分56秒
収録日:2022年10月5日
追加日:2023年1月14日
≪全文≫

●イスラム教徒と組んで資金と情報を得たモンゴル人


―― 次に、そのようにできてきたモンゴル帝国が、なぜ世界帝国としてあれほど版図を広げていったのかという点です。

宮脇 モンゴルはチンギス・ハーンについても資料(書いたもの)がないほどで、彼は字が読めなかったらしいのです。耳で聞いて、いろいろな言葉を理解したようですが。

 そして、次のような逸話があります。遊牧民の中にはもう少し文化の高い人たちがいました。チンギス・ハーンは一番田舎から出てきたのですが、今のモンゴル国の中央のウランバートルあたりには、西と交流をしていて、もう少し文化程度の高い、文字を持った遊牧民がいたわけです。

 そこを攻めて、逃げている大臣を捕まえたら、判子を持っていた。チンギス・ハーンがそれを見て、「それは何だ」と聞いた。そうすると、その大臣が「これは文字です」「君主が、自分が命令を出したということを証明するために、これを文字で書いたものに押すのです」などと説明した。それが実は古いモンゴル文字で、「それは便利だ、それを使おう」とチンギス・ハーンが決めて、子どもたちに勉強しろと言った。自分は歳だから勉強しなかったのです。

 その文字は実は、地中海のシリアに始まるアラム文字(イエス・キリストが使ったらしいアラム文字)が、今のアラビア文字と同じ元から中央アジアに来てソグド文字になり、古いウイグル帝国の文字になった。だから、アラビア文字のように右から書いていた文字だったのです。

 ところが、ウイグル帝国はシナとの関係が強かったため漢字も使い、漢字交じりで書くものができた。漢字は当時、絶対に横に書かず、縦にしか書かなかった。それで、文字を縦にしてしまったわけです。

―― なるほど。

宮脇 それでモンゴル文字は縦に書くのです。でも、アルファベットです。西から来ているシリア文字なのです。それを便利だということで、13世紀にモンゴル文字にした。

 ということで、チンギス・ハーンの時代にやっと文字が来る。西の文化がモンゴルに入ったのです。ですから今、中国に言いたいのですが、モンゴル人は中国人とは違います。そもそも地中海文明がドッと東にやってきた、その端がモンゴルなのです。

―― 確かに文字が違うという点は典型的ですね。あれほど近いのに漢字が入っていない、と。

宮脇 そうなのです。それで、シルク...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
編集部ラジオ2026(14)小宮山宏先生:知識の構造化のために
【10min名作探訪】テンミニッツ・アカデミーの意義と発想法
テンミニッツ・アカデミー編集部
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(5)本性主義の経営とコロナ
本性主義の経営――コロナ禍でも人間の本性は変わらない
楠木建