モンゴル帝国の世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
有力者を親戚関係にする親衛隊の仕組みと、末子相続の真実
モンゴル帝国の世界史(5)最大版図への道程
歴史と社会
宮脇淳子(公益財団法人東洋文庫研究員)
モンゴル帝国はなぜ戦争に強いのか。それは遊牧民ならではの特徴を生かした軍の仕組みがあったこと、そして帝国の隅々にまで人的ネットワークが築かれたことにあった。さらにチンギス・ハーンは、子どもや孫たちが争わないように進軍する方面を決めていたのだ――モンゴル帝国が最大版図を築くまでの背景を探る。(全7話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分10秒
収録日:2022年10月5日
追加日:2023年1月28日
≪全文≫

●遊牧民が戦争に強い理由


―― 全戦全勝ということがすごいと思うのですが、やはりこれは騎馬民族で騎馬兵だったからですか。

宮脇 騎馬兵だからということと、訓練が行き届いていて規律がとてもいいこと。それから相手が弱いのです。町を包囲したらおしまいです。

 それから、その時にロシアは内部でお互いに争っているわけです。そのため全然協力してくれない。ヨーロッパはその時に確か、ドイツとローマ教皇の仲がかなり悪い。ハンガリーは助けを求めたのに、「お前らの信仰が悪い」などといわれて見捨てられる。ヨーロッパは全然まとまらないのです。

―― そうすると、個別撃破されてしまったと。

宮脇 個別撃破されて、あっという間にバーッと進軍された。こちら(モンゴル軍)は規律がいいし、分け前がもらえるから皆、士気が高い。普段から軍事訓練しているし、情報もたくさんあるし、世界中の優れた武器は来るし、そもそも遊牧民だから全員が馬に乗れる。もう強さが圧倒的なのです。

―― そうですね。

宮脇 しかも、替え馬を連れて走るのです。どういうことかというと、モンゴルの馬はあまり大きくなくて、頑丈だけど、サラブレッドよりうんと小さい。馬は群れで走る動物なので、人が乗っていなくても一緒に走り、それで乗り換えられるわけです。1人が3頭か4頭を連れていけば、馬が疲れたら乗り換えればいい。

 それから、モンゴル側はまず斥候隊が先に行って調査するのですが、すごく目がいいので、相手に気づかれずに全部調査ができる。

 また、「巻狩」といって普段から行なう軍事訓練は、山から下ろした動物を草原で待ち受けて、皆で輪の中に動物を閉じ込めて、それを狩猟するといったものです。

―― 完全に包囲戦なのですね。

宮脇 そのため、チンギス・ハーンの時代にサマルカンド(編注:ウズベキスタンの古都)に行った時も、出発点は5、6カ所なのです。なぜなら皆、遊牧だからです。1カ所にいたら草原で草がなくなるので、分かれて暮らしています。だから伝令と命令は絶対です。「何月何日にここを囲む」と聞いたら、あとは勝手に3つ、4つなど複数方向から進軍するわけです。

―― 目的地指令なのですね。

宮脇 そうです。時間があれば途中の町を落としてもいい。でも間に合わなかったら厳罰です。だって包囲戦が崩れますから。

―― そうですね、確かに。

宮脇 だ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(1)学問吟味の導入と正統性の問題
松平定信のもう一つの功績「学問吟味」の画期性に注目
中島隆博
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
編集部ラジオ2025(20)納富信留先生の「アカデメイア」講義
プラトンのアカデメイアからテンミニッツ・アカデミーへ
テンミニッツ・アカデミー編集部
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉