末井昭、「結婚」を語る
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
末井昭が書いたハウツー本ではない「結婚」の本
末井昭、「結婚」を語る(1)結婚の意味
末井昭(編集者・作家)
衝撃作『自殺』から3年半、編集者で作家の末井昭氏が新刊を発表した。新たに挑んだテーマは「結婚」だ。嘘もごまかしもなく正直に生きる恋人と出会って、結婚について真剣に考え始めた末井氏。執筆にあたって「読んだら絶対結婚したくなくなる本」を理想としたというが、果たしてその真意とは。不倫や離婚など赤裸々な過去とともに、結婚の意味について語る。(全2話中第1話)
時間:10分51秒
収録日:2017年7月18日
追加日:2017年8月8日
≪全文≫

●50歳になって、結婚について真剣に考えるようになった


 末井昭です。よろしくお願いします。これから結婚についてお話したいと思います。結婚は、人生の中でも大きな出来事です。けれども、そのわりには、あまり真剣に結婚の意味について考えることはありません。

 そういう私も、結婚について真剣に考え出したのは50歳くらいになってからです。それまでは、何も考えず、ただ一緒に生活してきたような感じでした。

 なぜ50歳になって、結婚について真剣に考えるようになったかというと、好きな人ができて、この先どうしようかと思い始めたからでした。それまでも、いろんな方とお付き合いをしてきました。要するに、不倫です。とはいえ、不倫相手の恋人たちとは、結婚しようと考えたことはありませんでした。

 ところが、「この人は!」という女性が現れたのです。はじめは、不倫相手も奥さんもみんな一緒に住んではどうかと考えたりもしたのですが、それは日本の婚姻法上、現実味がなかったので、やはり誰か1人を選ぶということになりました。そのため、ずっと一緒に暮らしてきた奥さんの元から家出をして、その女性と一緒に住むようになったわけです。


●嘘を積み重ねていくと、自分が弱くなっていく


 なぜ、その女性に対して「この人は!」と思ったのかというと、彼女が今までお付き合いしてきた女性たちとは違うところがあったからです。それは、彼女が嘘のない人だったということです。

 だから、彼女は私にずけずけと何でも言うわけです。「本人のために」と思ったら、もうやめてほしいというくらいまで、とことん言うのです。

 今まで何人かの女性とお付き合いしてきましたが、嘘がない女性はなかなかいませんでした。やはり、なんとなくごまかしがありました。ごまかすというと語弊があるかもしれませんが、お互いの都合がいいことを言って別れるとか、日常会話でもどこかそうした嘘が少なくありませんでした。

 嘘が悪いということではありません。社会生活を行う上で、まったく嘘がない生活はできません。もちろん、仕事をする上でも嘘は必要です。余談になりますが、政治家は嘘をつくのが仕事のようなもので、彼らが話すことは全て嘘ではないかと思っています。

 私もずっと嘘をついてきました。でも、実感として、嘘を積み重ねていくと、どうしても自分が弱くなっていくのを感じて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理