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末井昭が書いたハウツー本ではない「結婚」の本

末井昭、「結婚」を語る(1)結婚の意味

末井昭
編集者・作家
概要・テキスト
『結婚』(末井昭著、平凡社)
衝撃作『自殺』から3年半、編集者で作家の末井昭氏が新刊を発表した。新たに挑んだテーマは「結婚」だ。嘘もごまかしもなく正直に生きる恋人と出会って、結婚について真剣に考え始めた末井氏。執筆にあたって「読んだら絶対結婚したくなくなる本」を理想としたというが、果たしてその真意とは。不倫や離婚など赤裸々な過去とともに、結婚の意味について語る。(全2話中第1話)
時間:10:51
収録日:2017/07/18
追加日:2017/08/08
≪全文≫

●50歳になって、結婚について真剣に考えるようになった


 末井昭です。よろしくお願いします。これから結婚についてお話したいと思います。結婚は、人生の中でも大きな出来事です。けれども、そのわりには、あまり真剣に結婚の意味について考えることはありません。

 そういう私も、結婚について真剣に考え出したのは50歳くらいになってからです。それまでは、何も考えず、ただ一緒に生活してきたような感じでした。

 なぜ50歳になって、結婚について真剣に考えるようになったかというと、好きな人ができて、この先どうしようかと思い始めたからでした。それまでも、いろんな方とお付き合いをしてきました。要するに、不倫です。とはいえ、不倫相手の恋人たちとは、結婚しようと考えたことはありませんでした。

 ところが、「この人は!」という女性が現れたのです。はじめは、不倫相手も奥さんもみんな一緒に住んではどうかと考えたりもしたのですが、それは日本の婚姻法上、現実味がなかったので、やはり誰か1人を選ぶということになりました。そのため、ずっと一緒に暮らしてきた奥さんの元から家出をして、その女性と一緒に住むようになったわけです。


●嘘を積み重ねていくと、自分が弱くなっていく


 なぜ、その女性に対して「この人は!」と思ったのかというと、彼女が今までお付き合いしてきた女性たちとは違うところがあったからです。それは、彼女が嘘のない人だったということです。

 だから、彼女は私にずけずけと何でも言うわけです。「本人のために」と思ったら、もうやめてほしいというくらいまで、とことん言うのです。

 今まで何人かの女性とお付き合いしてきましたが、嘘がない女性はなかなかいませんでした。やはり、なんとなくごまかしがありました。ごまかすというと語弊があるかもしれませんが、お互いの都合がいいことを言って別れるとか、日常会話でもどこかそうした嘘が少なくありませんでした。

 嘘が悪いということではありません。社会生活を行う上で、まったく嘘がない生活はできません。もちろん、仕事をする上でも嘘は必要です。余談になりますが、政治家は嘘をつくのが仕事のようなもので、彼らが話すことは全て嘘ではないかと思っています。

 私もずっと嘘をついてきました。でも、実感として、嘘を積み重ねていくと、どうしても自分が弱くなっていくのを感じて...
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