末井昭、「結婚」を語る
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『聖書』創世記の一文に記された結婚の意味とは
末井昭、「結婚」を語る(2)『聖書』に学ぶ夫婦のかたち
末井昭(編集者・作家)
結婚の全ての意味が『聖書』の一文に記されていると、編集者で作家の末井昭氏は語る。「人は、その父母を離れ、妻と結び合い一体となるのである」という一文がそれだ。「人」とは誰か。「父母を離れ」にはどんな意味があるのか。「結び合い一体となる」とはどういうことか。具体例を交えながら、独自の見方で、結婚の真髄を解き明かす。(全2話中第2話)
時間:14分38秒
収録日:2017年7月18日
追加日:2017年8月14日
≪全文≫

●創世記2章の一文に結婚の全てが書かれている


 私は、生活する上で困ったとき、『聖書』を指針にしています。『聖書』には、ある方の導きによって出会いました。『聖書』にはこういうことが書かれているという、意味や読み方は、その方に教えてもらいました。一般的なキリスト教の解釈とは少し違う見方をします。そうした独自の見方で『聖書』を読んで、困ったときの参考にしています。

 結婚については、確か創世記2章の言葉が、『聖書』の中で最も古い記述だと思います。「人は、その父母を離れ、妻と結び合い、一体となるのである」という一文です。結婚について書かれているのはこれだけなのです。逆にいえば、これだけに結婚の全ての意味が含まれているわけです。

 最初の「人」は「アダム」のことを指しています。妻となる「エバ」はアダムからつくられたと『聖書』には書かれています。そのアダムとエバが「一体となる」ということですが、その前に「父母を離れ」とあります。ここは大事なところです。

 父母と離れないといけません。両親とくっついていると駄目なのです。だから、基本はお父さん、お母さんから離れて、自分の好きな女の人と出会い、2人は一体になるということです。


●「結び合い一体となる」が結婚の神髄


 最後に「結び合い一体となる」とありますが、「一体」といっても、体を重ねるという意味ではありません。『聖書』に書かれているのは全部内面のこと、心のことです。したがって、「心が一体になる」という意味で書かれています。この「心が一体になる」とは、どういうことなのでしょう。

 ここに結婚の神髄があります。そもそも、他人と他人が一緒になって、それが一体になるというのは奇跡です。

 人はそれぞれ自我を持っています。それぞれが、独立していて、一体になるなんてことはあり得ないわけです。ある人がある人を好きになったり、助けたりすることはありますが、それはあくまでも、私という個人、あなたという個人がいることが前提にあるので、一体にはなり得ません。

 一体に近い状態があるとすれば、親子関係です。親が子を思う気持ちは、自分を飛び越える場合があります。

 例えば、子どもが車にひかれそうになったら親は自分の命を捨ててでも助けようとすることがあります。親は自分の損得を超えて、子どものために車の前に飛び込んでいくこともあり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ