人生の可能性~学者知事が語る
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
農協を経て片道切符で再度の渡米。大学入試は側面突破
人生の可能性~学者知事が語る(1)誕生から結婚まで
蒲島郁夫(元熊本県知事)
くまモンで大ブレイクの熊本県には、もう一つの名物がある。異色の学者知事、蒲島郁夫氏だ。おちこぼれ学生から一転、熊本県知事に登りつめた彼のモットーは「逆境の中にこそ夢がある」。そんな蒲島氏が自らの「人生の可能性」を追求してきた道筋を二回に分けてお届けする。(前編)
時間:9分42秒
収録日:2014年5月16日
追加日:2014年7月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●220人中200番台で卒業した高校生の三つの夢


―― 蒲島先生の人生そのものが、人間はあきらめさえしなければなんでもできる、可能性の追求なのだということ、逆境に耐えてこそ人生なのだという実例のようですね。蒲島先生は高校を卒業されるとき、220人中の200番台だったというくだりがありますね。そして、農協に勤められてネブラスカへ行かれる。そのあたりからお願いできればと思います。

蒲島 私は、人生の可能性は無限大だと思っています。

 私が生まれたのは1947(昭和22)年で、終戦の2年後でした。父母は満州国からの引き揚げで、6人の子どもを連れていました。8人家族が無一文で日本に帰り、祖母の家に転がり込んだのです。祖母はわずか22アールの田んぼを耕す生活でした。

 そこで子どもを産むのをやめておけばよかったのかもしれませんが、帰国後も3人生まれました。私は9人きょうだいの7番目なのです。当然、食糧難です。ですから私は、小学校2年生のときから高校3年生までの11年間、毎日新聞配達をして家計を助けました。

 そんな事情でしたから、高校までほとんど勉強はしませんでした。高校を卒業するときの順位は、220番中の200番ぐらいでしたね。ただ、そういう学生生活とはいえ夢は大きくて、三つの夢を持っていました。

 一つ目は、本を読むのがとても好きだったので、小説家になりたいという夢です。

 二つ目は、立派な政治家になりたい。みんなが持つ夢でしょうけれど、本を読む中でプルタークの『英雄伝』に出会い、シーザーに憧れたのがきっかけでした。

 三番目は最も実現可能性の高い夢。阿蘇の近くに住んでいましたので、「阿蘇の大草原で牛を飼いたい」と思いました。

●農業研修生の辛い日々。労働と勉強を秤にかける


蒲島 三つの夢を持っていましたが、高校を卒業する時点では夢は当然まだまだかないません。

 18歳で高校を卒業すると地元の稲田村農協に入り、そこで2年間勤めました。でも、20歳のときに、「このままでいいのか。もっと違う生き方があるのではないか」と考えたのですね。そんなときに新聞広告で、日本の農業青年を2年間アメリカに送る研修生事業の募集を見つけたのです。

 そこで、私は応募しました。将来阿蘇で牛を飼おうと思っていましたから、「肉牛コース」に応募して、渡米したのが21歳のと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦