深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『リア王』と『マクベス』でシェイクスピアは何を描いたか
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(3)『リア王』『マクベス』が描く人間の本質
河合祥一郎(東京大学名誉教授)
シェイクスピアの四大悲劇のうち、『リア王』と『マクベス』を取り上げる今回。王座を退いた男の悲哀を描いた『リア王』、王になる野望の前で葛藤するさまを描いた『マクベス』。それぞれを読み解きながら、シェイクスピアが表現しようとした人間の本質を明らかにしていく。(全6話中第3話)
時間:13分45秒
収録日:2023年4月12日
追加日:2023年7月27日
≪全文≫

●『リア王』が描いた「アイデンティティ」と「文化」の問題


 こんにちは。河合祥一郎です。第3回は、シェイクスピアの四大悲劇の中から『リア王』と『マクベス』の二つを取り上げることにしましょう。

 まず、『リア王』ですが、これは『ハムレット』と並ぶシェイクスピアの代表作です。角川文庫から私が出した翻訳は題名が『リア王の悲劇』となっていますが、これは1623年に出版されたフォーリオ版に基づいて翻訳したために、フォーリオ版の題名をそのまま訳したものです。

 これまでの邦訳では、フォーリオ版だけに基づくことはせず、クォート版と合わせて折衷版のテクストを作り、それが訳されてきました。クォート版は“The History of King Lear”といいますが、この“history”は歴史ではなく、フランス語の“histoire”と同じく物語を指します。

 話の内容が少し違っているのですが、今回はその違いについて述べることはせず、ざっくりと『リア王』という作品そのものについて述べていくことにします。まずは内容を確認しておきましょう。こちらの図をご覧になりながらお聴きください。

 古代ブリテンの年老いた王リア王には3人の娘がいました。長女ゴネリルと次女リーガンはすでに結婚していて夫がいるのですが、三女のコーディーリアはこの芝居の中でフランス王に求婚されることになります。

 さて、引退を決意したリアは、三人の娘に王国を分割しようとし、どれほど父を愛しているか言うように命じます。長女ゴネリルと次女リーガンは多くの領地を手に入れようと父への愛を大仰に言いたてるのですが、最愛の末娘コーディーリアは大げさに言葉を飾ることを嫌い、自分が父を尊敬し愛していることは自明のはずだと信じて「何も言うことはありません」と言います。これにリア王は激怒し、コーディーリアを勘当してしまいます。止めに入った忠臣ケント伯爵は追放され、コーディーリアは持参金なしでフランス王に嫁いでいくことになります。

 こうして王権をゆずったリアは、長女と次女の城に順番に滞在することにしていたのですが、そのうちに娘たちの態度がぞんざいになってきたことに気づきます。かつての王を尊敬せず、父を父とも思わぬその忘恩、恩知らずにリアは激怒して、道化を連れて嵐の中へ出ていきます...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(5)ロシア正教が果たした役割
「ロシア正教こそが世界の中心」という使命感…ロシア正教の大きな役割と「儀礼改革派」「古儀式派」
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎