真山仁の小説論
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読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
真山仁(小説家)
活字離れが叫ばれる昨今の日本だが、書き手側にも問題があると、『ハゲタカ』シリーズ(2018年7月19日よりテレビ朝日系列でドラマ化)の著者である小説家・真山仁氏は語る。それは、いったいどういうことなのか。真山氏が、「想像力」をキーワードに論じる。(全3話中第1話)
時間:12分16秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年7月12日
≪全文≫

●間口を広げたマーケティング戦略が必要


―― 日本のマーケティングがうまくいっていない問題点はどこにあるのでしょうか。

真山 本来マーケティングは、関心を持っていない層に振り向いてもらうために行うものですが、現状ではすでに客となり得る可能性を持っている層に打ち出すことに力を入れている。潜在的なファンだから、実は広告1本で動かすことができます。そうした広告を打つことしかしていないから、新たなファンを獲得するために本来伝えるべき多くの人に届けることができていません。つまり、関係者が皆「そこは客じゃないから」と言って広告を打つのを止めている。今の日本のマーケティングがうまくいっていないのは、全部これが原因だと思います。

―― 昭和から平成にかけて、緩かった広告やマーケティングの在り方ががんじがらめになってきたとみて良いのでしょうか。

真山 そうですね。昭和が緩かったのはパイが大きかったからでしょう。やはり1年齢あたり何100万人も存在していたというのは効果が出やすかったと思います。逆にいえば現在、「パイを取り合っている」と考える人がいますが、ピンポイントで勝負した方が勝てると思うのは間違いです。結局パーセンテージを考えると、100万分の1パーセントと1000万人の1パーセントなら、当たり前ですが1000万人の1パーセントの方が良いわけです。それを分かっていないといけません。

 後はやはり、「広告料はドブに捨てるもの」だという発想がないということも関係しています。費用対効果を考えようとしがちですが、効果があるのであれば最初からそこだけやれば良いわけです。しかし広告とは、「やっても駄目かもしれないがやってみよう」というケースのためにあり、そうした考えがないのでうまくいかないのだろうと思います。

 例えば、音楽業界は良くできています。新しいCDを出すとします。そうすると、仮に3週目の1週間が勝負と決めて、その週に出る雑誌全てにそのアーティストを出すのです。波状攻撃で幅広く行うことによって爆発的に売れたりします。一方、出版社にこのことを言っても、そんなことはできない。できないのではなく、したことがないので、そのことが分かっていないということです。私はフリーライター時代、プロモーションの仕事に関わることが多かったので、この辺の事情がよく分かります。

―― 中部読売新聞にいた頃ですか。
...

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