真山仁の小説論
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
小説は"人はなぜ生きるのか"を問い続けるヒント
真山仁の小説論(2)不条理とどう向き合うか
真山仁(小説家)
小説の面白さは不条理とどう向き合うかについて想像力を喚起させるところにあると、小説家・真山仁氏は説く。重要なのは物語に善悪をつけることではなく、想像力を喚起させることだ。小説家の腕もそこにかかっている。(全3話中第2話)
時間:6分57秒
収録日:2018年4月10日
追加日:2018年7月16日
≪全文≫

●小説は正しく理解するための情報を提供し、考える機会を生むもの


―― 真山さんが描かれている小説は、日本や世界で闇になっている部分を暴いていくようなものが多いように思います。

真山 恐らくそれが、真山仁という小説家の評価だと思うのですが、実際は少し違います。(暴いていくために)戦っているわけではありません。戦うというよりもむしろ、できたらその扉を開けたくない人たちや光を当ててほしくない人たちに、「すいません、全部、見せてもらえませんか」と頼むのです。「偏った批判をするために書くのではありません。よいことも問題となる部分もすべてみせてほしい」と言います。そうして、原発の問題も書きましたし、『オペレーションZ』という小説では財務省や政治の問題も書きました。

 今まで書いてきた小説ではさまざまなことを明るみに出しましたが、最初に評価してくださるのは、むしろその扉を開けてほしくなかっただろう人たちです。『ハゲタカ』でも、「この小説を読んで救われた」と最初に言ってくださったのは、外資系の投資銀行の人たちです。原発事故の問題に関連した小説『ベイジン』を書いた時、最初に泣きながら握手を求められたのは、原発で働いている人からでした。原発という所がどういうところで、何が危険で、そのために何をしているかということを「息子に胸張って初めて言える」とおっしゃっていました。

 日本人は敵対構図が好きなので、原発村といえば「悪を暴く」となりがちです。確かに全部が善ではないでしょうが、全部が悪でもありません。そもそも世の中を善悪で考えること自体が、私は間違っていると思います。立場が逆転すれば善が悪になるわけですから。

 ポイントは善悪を伝えることや白黒つけることではありません。暴くというより、正しく理解するための情報を提供して、「読者は考えてください。当事者も考えましょう」と提案するということです。

 物語をつくるときに、善悪を付ける風習が日本にはあります。常に対峙するという対立構造として、良い人と悪い人をつくると、確かにそれは面白いのですが、面白いのであれば、現実はそんなに単純なものではない。


●小説は「人はなぜ生きるのか」を問い続けるヒントだ


真山 一言でいうと、小説は人がなぜ生きるのかを問い続けるヒントになるものだと思います。架空の人間を、現実に起きている社会の中...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(7)シベリア出兵と張作霖爆殺事件
軍閥割拠の中国は魑魅魍魎の世界…列強やコミンテルンの思惑も絡む中で翻弄される日本と張作霖爆殺事件の謎
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸