『太平記』に学ぶ激動期の生き方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
後醍醐天皇が目を付けたのは楠木正成の交易ネットワーク
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(5)楠木正成の意外な人物像
兵藤裕己(学習院大学名誉教授)
『孟子』の思想は鎌倉時代に生きる人々に強い影響を与え、『太平記』を通して幕末の志士にまで影響を及ぼすことになった。その思想の影響を受けた一人、楠木正成はいったいどのような人物だったのか。じつは彼は、流通経済や鉱山技術に通じていた可能性も指摘されるような、商業を担う新しいタイプの武士だったのだ。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分30秒
収録日:2020年8月26日
追加日:2020年11月29日
≪全文≫

●『太平記』は幕末の志士に影響を与えた


兵藤 そこで出てくるのが、例えば吉田松陰の草莽崛起(そうもうくっき)というスローガンです。またそこで実現されたのが、天皇と民との間を隔てる貴族を排除した「一君万民」の世界です。

 例えば、中国は近代化が遅れました。韓国も、両班という貴族制度が根強くあったので、近代化がかなり遅れました。アジアで最初に、「国民国家」ができたのは日本ではないでしょうか。偉いのは天皇であり、あとは軍人であろうと公務員であろうと、みんな「民」だった。一君万民という形の、いわゆる「国民国家」ができあがったのです。

 だから、日本はアジアの中で、最初に国民軍をつくることができ、国民国家をつくることができました。これは、『太平記』に描かれている思想、描かれている二つの政治のあり方が影響しています。それが、その後の室町幕府と江戸幕府をつくり、武家政権をひっくり返したのです。

 例えば坂本龍馬は(ある意味、)ほとんど武士ではありませんね。

―― 土佐藩の中でも決して身分が高い層ではないですからね。

兵藤 彼らのような人が、才能次第で国を建てていく。まさに草莽崛起です。そのような『孟子』に由来する思想を、吉田松陰が長州の人たちばかりではなく、薩摩など他のいろいろな人たちに広めていきました。これは近代の政治史を考える上で、非常に重要なことではないでしょうか。

―― そうですね。楠木正成は幕末の頃から本当に大衆に大人気で、芝居小屋などで、「いよいよ本日より楠木が出る」となると、お客さんが押し寄せてくるという話も残っています。そのようなものが明治以降の近代国家をつくる上で、一つの原像になっていたということでしょうかね。

兵藤 そうですね。

―― 後醍醐天皇が、中国の宋の時代のように、皇帝と民が直結することを理想としていたというお話でした。『太平記』の中でも、それこそよく宮中で、怪しい人がたくさんやって来て、「酒池肉林」というと語弊があるかもしれませんが、つまり宴会ばかりやっているといった話が出ています。あれはつまり、門閥系の貴族からはそう見えるけれども……。

兵藤 もちろん、その立場からの批判的記述です。無礼講は実際にやっていたのですが。

―― 後醍醐天皇からすると、有能な人たちを登用するための集まりで、どうやって接点を作るかというところだったのか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
河合祥一郎
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉