●日常の小さなことから試していく
浅見 皆さんに直感の話をすると、いきなり大きなことから試そうとします。例えば、直感で会社を辞めるか辞めないかだとか、新しいことを起こすか起こさないかとか。いきなりそんなことができるわけはなく、もっと日常生活で練習した方がいいと思います。
極端なことを言うと、今日は何を食べるか、ぐらいの小さなことから、「皆がこっちを選んでいるけど、私は今日はこれがいいな」とか、そういう自分の感覚の通りにしてみる。最初は練習なので、ばかにせず、試しにやっていってみると、「あ、自分の本音の通りに生きるってこんなに気持ちいいんだ」ということが分かってきます。
その小さなことを普段からやっていると、結構大きな仕事の話がきたときも、「いや、こっちが好きだから」で選べるのですね。
── 直感力も育てていかないといけないのですね。普段使っていないから埋もれてしまっているわけですね。
浅見 もう日常生活が勝負だと思います。
── 小さいときから学習塾に行ったりして、受験勉強から入っているために、本来あったはずの「感じる力」がものすごく弱まっているということですね。
浅見 弱まっていますね。それはやはり、親がその感じる力を失っているからです。そういう親にそのように言われれば、子どもはそうするしか仕方がありませんよね。
── 人生に正解はないわけですよね。センター試験ではありませんから、正解なんてないのに、「これが正解ですよ」と言われてきてしまっているので、一生懸命、正解を頭で考えようとする。そうすると、感性の方がつぶされてきているというのが今の状況ですね。
浅見 そうです。ですから、皆さんによく夢や望みを実現させるイメージトレーニングの話をするときでも、まず「夢を設定する」と言うと、本当に自分のワクワクすることを夢に設定していないお子さんが多いのです。
なぜそれがやりたいのかを探っていくと、結局、親からそれが幸せだと言われていたから、自分はそれが好きなのだろう、と思い込んでいるのです。夢を実現させるとき、やはり最初のイメージトレーニングがすごく大事なのですが、そのイメトレをやるときに、ワクワクしていません。苦しいわけです。ですから、イメージも鮮明ではありませんし、いざ進み出すと苦しくなってくるのです。その状態でも、頭のいい子は達成できてし...
(浅見帆帆子著、朝日新聞出版)