ギリシア悲劇への誘い
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ギリシア悲劇における合唱隊“コロス”の役割と意味
ギリシア悲劇への誘い(6)コロスの歌とその役割
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
ニーチェも指摘するように、ギリシア悲劇は合唱隊である“コロス”の歌から始まったとされている。『オイディプス王』に登場するコロスは町の長老たちという設定で、その構成においてはストーリーを展開させ、さらには観客を代弁する存在でもある。これは一体どういうことなのか。ギリシア悲劇におけるコロスの役割と意義について解説する。(全7話中第6話)
時間:13分05秒
収録日:2021年3月30日
追加日:2022年3月1日
≪全文≫

●『オイディプス王』では15人のコロスが長老たちの設定で登場


 このシリーズ講義では、ソフォクレスの『オイディプス王』という劇を素材として取り上げて、一つの見方をご説明しています。全部を分析するのは難しいですが、前回“Tragic irony(トラジック・アイロニー:悲劇的アイロニー)”の話をしましたが、もう一つ注目してみたいのは、“Choros(コロス)”の役割です。

 コロスについては少し説明しましたが、実はギリシア悲劇はもともとはコロスと呼ばれる合唱隊の歌から発祥したといわれています。『オイディプス王』という劇の中では、テーバイの長老たちの設定で15人のコロスが出てきます。野外の劇場なので、彼らが粛々と外から入って来て歌うところから本格的に劇が始まり、その人たちが最後に歌って出ていくところで劇が終わるのが、全体の構成です。

 私も初めて読んだ頃はそうだったのですが、最初のうちはコロスが歌う場面が面白くないと思ってしまいます。特に読み物として読んでいる場合には、ストーリーにあまり関係がない、そして言っていることがよく分からない。神話的なことや曖昧なことをたくさん言っているので、何となく読み飛ばしてしまいます。劇として、あるいはミステリーとして読もうと思うときには、あまり関係がないように思ってしまうかもしれません。実はもともとギリシア悲劇がこのコロスの歌から始まったことが重要であるということを、今日は少し見ていきたいと思います。

 コロスは合唱隊で、皆、男の人たちです。特定の役割、つまり、劇の中である役割を果たします。役者の人たち同士で話すところもありますが、役者の人とコロスの間で掛け合いをすることもあり、またコロスだけで何か言うときもあります。劇の舞台の中の一部ですが、オイディプス王やイオカステ、クレオンなどの人たちと比べると、キャラクターがすごく濃いわけではなく、集団でいろいろ言ったりしています。


●ギリシア悲劇の構成


 ここ(ホワイトボード)に書いたものは少し分かりにくいと思いますが、ギリシア悲劇は詩なので、本当に構成が難しく、いろいろなパーツが順番に組み合わされていきます。第何幕とはいいませんが、こういうものを組み合わせていきます。(ホワイトボードの中で)赤で囲った部分はコロスが歌う場面です。

 最初にオイディプスと神官が言葉を掛け合い、次にパロドスがあり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
生成AI「Round 2」への向き合い方(8)「責任あるAI」への課題と覚悟
責任あるAI――マイクロソフトが掲げるコンセプトと覚悟
渡辺宣彦
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介