独裁の世界史~フランス革命編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
デルフォイの神託とギリシア悲劇が伝える歴史的教訓
独裁の世界史~フランス革命編(5)歴史の宿命に学ぶ
歴史と社会
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
「歴史は繰り返す」というが、理想から出発したはずの多くの革命は先鋭化して自国民の間に悲劇を招く。そうならないために、デルフォイの神託は「汝自身を知れ」と「中庸」を、そしてギリシア悲劇は「傲慢」の戒めを人々に与えているのだ。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分52秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2020年10月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●歴史の宿命から学んだ二つの教えとは


―― 先生にもう一つお聞きしたいのは、前回のローマとフランスの対比に示されるように、この後の歴史では革命が多々繰り返されていきます。ロシア革命、中国革命、さらにカンボジアの場合もそうだと思いますが、だいたいが急進的になり、国内で非常に凄惨な粛清があったり、人民大量虐殺の状況が起きたりしてしまいました。

 このことを考える場合、革命当初は穏健派と急進派が共存していたわけですから、本来は穏健な道、フランス革命であれば立憲君主に着地する道があり得たかもしれない。ところが、そうはならず急進的な動きの中、陰惨な粛清騒ぎに進むのは、歴史の宿命なのか。あるいは、それを避ける知恵があるとしたら、ほどよく収めていく知恵というのはどういうところにあるのか。世界史におけるさまざまな事例をご覧になっていて、何かそこにヒントはございますでしょうか。

本村 デルフォイの神託に、「汝自身を知れ」という有名な言葉があります。とにかく人間というものは、自分にどれぐらいの力があり、どれぐらいの限界があるのかをちゃんとわきまえていろ、というような考え方です。

 デルフォイには、今もそれなりに大きな遺跡が残っています。ギリシアだけではなく当時の地中海世界の人々が神託を伺いに行ったりして、信仰の中心とされていたところです。

 そこに刻まれた「汝自身を知れ」と、もう一つ、ギリシア語では「メーデン・アガン」と言いますが、「物事は中庸をわきまえろ」という神託もあります。中庸が全てである。言いかえれば、過激なことをやったとしても、結局それはさらなる過激さを生むだけであるから、ほどほどにせよということです。おそらくそれはギリシア時代からの人間の知恵として続いてきたのでしょう。

 同じことをやっていると、だんだん過激になってくるけれども、どこかで行き止まりになって元に戻っていく。戻っていったところでうまく調整できればいいけれども、なかなかそうはいかない。新しい時代に突入すると、また急進的で過激なほうに走ってしまいがちである。それを歴史は繰り返している、ということです。


●ギリシア悲劇の戒めは「ヒュブリス(傲慢)になってはいけない」


本村 それから、ギリシア悲劇の大きなテーマに「ヒュブリス(傲慢)」があります。人間はヒュブリス(傲慢)になってはいけない、とい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(3)テクノロジーの進化とエンタメのいま
VR、ゲーム実況、ブロックチェーン…一方でリアルライブも
水野道訓
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
未来を知るための宇宙開発の歴史(14)宇宙開発は未来をどう変えるか
『2001年宇宙の旅』が現実になる!?カギは宇宙医学
川口淳一郎
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(2)心理的安全性とは何か
心理的安全性とは?Google流の成功するチームの条件
青島未佳
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦