独裁の世界史~フランス革命編
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フランス革命のモデルは古代ローマにあった
独裁の世界史~フランス革命編(4)古代ローマがお手本
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
全ての枠組みを変えようとしたフランス革命にも、お手本はあった。恐怖政治のロベスピエールはカエサルの真似をした節があるし、「コンスル」など、共和政から帝政への移行を象徴する名前を積極的に用いている。だが、最も大きいのは人権思想が、ローマ市民権を踏まえたものだったのではないかということである。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分11秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2020年10月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●ロベスピエールはカエサルの真似をしようとした


本村 フランス革命の場合にも、急進派が出てきました。ロベスピエールという人は、古代ローマ時代にカエサルがやったことをやろうとしたのだろうと思います。

 ただ、カエサルは反対派を処刑したり、そういうことはあまりしていません。カエサルの場合、敵対勢力であってもある程度自分に従順な意思を示しさえすれば許すということを、比較的何度も行っています。そのあたりの賢さが違うというか、ロベスピエールの場合は若くて血気にはやったのかもしれないし、時代の状況が違っていたからということもあるでしょう。

―― 確かにフランスの場合は、戦時下というか、対外的な関係でいうと完全に孤立して劣勢に置かれた状況ではありますね。

本村 ええ。カエサルの場合も、対外的な外国勢力が入ってくる云々ではないものの、共和主義者との戦いはまだ続いていきます。彼の敵対勢力への態度としては、カトー(小カトー)という一番の共和主義者への例を見るといいでしょう。カトー(小カトー)は戦いの中で亡くなってしまうのですが、カエサルはそれを非常に悔やみます。何らかの形でカトー(小カトー)を捕まえて、「一線を退く」ということさえ言ってくれれば、カエサルへの恭順を示さなくても、許すつもりでいたのです。むしろ彼にとっては、それが理想だったと言われます。

 ところがフランス革命の場合は、反対勢力を処刑にしたりしてしまう。しかも、反対する勢力全てに「反革命」のレッテルさえ貼れば、それで処刑できるとしました。そこまで行ってしまったのは、いったいなぜだったのでしょうか。


●フランス革命のモデルとなったのは共和政から帝政期への移行期のローマ


―― ジャコバン派の仲間同士でも、最後は殺し合いになっていくわけですね。

本村 ええ。そこで感じるのは、カエサルが始終言っていた「クレメンティア(慈愛)」であり、“ゆるす”という感覚です。それは、ローマ人全体にそういうところがありました。

―― まさに慈しむ愛ですね。

本村 ええ。そのあたりが、共和政から帝政期への移行の時期のローマと、フランス革命との大きな違いではないかと思うのです。

 だけど、彼らにとっては、その時期のローマがやはりモデルになりました。だから、フランス革命ではいろいろな役職をつくり、「コンスル」などのローマ時代の名...

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