独裁の世界史~ソ連編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロシア革命を共和政的に行うことは可能だったのか
独裁の世界史~ソ連編(2)レーニンのリーダーシップ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
革命は社会正義実現のために行われるが、その達成には幾多の困難が伴う。ロシア革命の場合は、「世界同時革命か、一国社会主義か」が岐路となったが、そうした中、レーニンはリーダーとしてあり方をどう考えていたのか。また、ロシア革命を独裁的ではなく、共和政的に行うことは可能だったのか。当時の状況を踏まえて考えていく。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分00秒
収録日:2020年1月30日
追加日:2021年2月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●革命の指導者レーニンと、二つの革命思想


本村 レーニンを一口に「独裁」と言ってしまっていいかどうかは分かりません。けれども、革命運動の渦中、いろいろな人が主導権を握ろう、自分の意見を通そうと戦う中で淘汰が起きるので、どうしても独裁者にならざるを得ない。少なくともそう振る舞わないと自分もやられてしまう局面だった。そういう意味での独裁権力を、ボリシェヴィキのリーダーとして確立していったと思います。

―― そのあたりは、以前にお話をうかがったフランス革命のときのジャコバン派のロベスピエールたちが独裁に向かう流れと、軌を一にするところがあるということでしょうか。

本村 そうですね。レーニンの場合は反対派を粛清する形は取らなかったけれども、追放など、いろいろな形で排除していきます。彼は最初、スターリンを非常に信頼しています。スターリンもレーニンに対してかなり信奉しているところがありました。また、レーニンはトロツキーも非常に信頼していました。

 そうした革命運動の中、結局ロシアは革命を起こしたけれども、周りの国々はそういう事態に至っていない。けれども、一つの国では結局つぶされてしまいかねないというので、周りの国を巻き込んだ「世界同時革命」という動きが出てきます。それが、最終的にはトロツキーが取った戦略です。

 スターリンのほうは、どちらかというと、とにかく一国でそれを充実していかなければいけないという、今の「民族社会主義」の思想を鮮明に持ってきます。

 レーニンはどちらにも偏らなかったのですが、どこかで少し一国社会主義的なものに対する懸念を持っているところがありました。だから、彼は最終的にトロツキーを退けないで、むしろ「スターリンを議長の座から下ろせ」と遺言なども残したと言われます。


●レーニンはフランス革命にリーダーシップを学んだのか


―― (スターリンについては)けっこう乱暴だということを懸念していたという話もありますね。

本村 そうですね。それから、もともと一国社会主義的なものを持っていたからでもあると思うのですが、はっきりトロツキー路線だったかどうかはまだ分かりません。レーニンが亡くなった後、路線がはっきり対立してきて、トロツキーが追放され、やがて殺されてしまうという流れになるわけです。

 レーニンという人は、革命の大変な主導権争いの中で、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(3)ビル・ゲイツの世界戦略
「50億人を救う」と宣言したゲイツとの粋なエピソード
島田晴雄
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦