歴史家が語る『裕次郎』
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
歴史上の人物にもひけをとらない魅力を持っていた裕次郎
歴史家が語る『裕次郎』(2)同時代史として書いた本
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
西洋古代史、ローマ史を専門とする早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏が、2017年7月に上梓した自著『裕次郎』を通して、石原裕次郎の魅力を語る。その語りには、同時代を生きた裕次郎を、歴史家として取り上げてみたいという願望が込められていた。(全4話中第2話)
【ご注意】本講義には、映画の内容や結末に言及する箇所がございます。
時間:14分06秒
収録日:2017年8月23日
追加日:2017年9月27日
≪全文≫

●歌が大ヒットして映画化される


 裕次郎の映画を観た時の感動や、格好良いお兄さんだなという憧れのようなものがあって長くファンとして続けられてきたのだと思います。

 裕次郎には今でも圧倒的な支持者が多くいます。それは、彼が歌を歌うからでしょう。歌を歌って、しかも、それが映画の中で主題歌になったものもあります。「嵐を呼ぶ男」はそのままの題名の主題歌がありますし、それより少し前に作られた「俺は待ってるぜ」も、やはりそのままの題名で歌になっています。それから前回お話しした「明日は明日の風が吹く」や「世界を賭ける恋」もそのままの題名で歌になっています。

 また、皆さんがよくご存じの「銀座の恋の物語」ですが、これは最初に歌がヒットしました。歌が非常にヒットしたので映画化となったのですが、そういうパターンも多いのです。少し後になってから出た「赤いハンカチ」や「夜霧よ今夜もありがとう」も歌の方が先にヒットして、それを映画化したものです。

 歌がヒットすると、みんながそれを口ずさみます。彼の声は非常に低音ということもあり、それほど声域が広いわけでもありません。そうすると、うまい下手は別にして、多くの男性にとって比較的歌いやすい曲ということになるでしょう。


●映画と歌と味わいのある歌い方、多様な語られ方が魅力


 裕次郎には、映画とともにその背景に歌があります。そうしたところが、圧倒的に他の俳優とは違う点です。ですから、今でも、例えばカラオケスナックに行き、年配の男性2~3人で2~3時間ほどいれば、必ず裕次郎の歌を歌うでしょう。もちろん私も歌いますけれども。今のカラオケだと本人映像が出てくるものも結構あるので、カラオケの歌詞が出てくる画面の中で映画の場面を観ることもできます。歌とともに映画の場面が出てくるということは、ある意味そうした場面を観たことがない人にとっても(裕次郎のことは)過去の話ではなくなるのです。

 裕次郎は30年前に亡くなっていますが、全盛時代ということになると、今から50年ほどさかのぼることになります。最初の感動は映画から受けたものであっても、歌とともにその声も彼の魅力の一つだといえるでしょう。彼の歌はうまいとか下手ということとは関係なく、まねができるものではなく、物まねをする人もあまりいないのではないかと思います。その声には独特な味わいがあり、非常に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
岡倉天心『茶の本』と日本文化(1)岡倉天心の生涯
岡倉天心の『茶の本』…世界に向けた日本伝統文化の発信
大久保喬樹
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫