「教養とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中途半端な教養の人は知識の「箱」をたくさん持っているだけ
「教養とは何か」を考えてみよう(3)知識の「箱」に縛られない
教養が単なる「知識の貯蔵」でないことは、誰もが知っている。知識の「箱」に縛られることなく問いを立て直し、問いと答えの一対一の対応を破り、新たな関係を見いだすためには想像力や発想力が必要とされる。しかし、そうした力を養成することはできるのだろうか。そのための実践的な方法はあるのだろうか。(全15話中第3話)
時間:11分09秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年5月11日
≪全文≫

●一対一の対応関係を破っていく想像力や発想力


津崎 「自由」についても、またいずれ戻ってくるかと思うけれども、もう少し道具の話にこだわってみると、「問いを書き換える」というふうに前回、言ったでしょ? 「ペンとは何か」「それは書けることである」と答えるような問答ではなくて、もうちょっと別の問いに置き換えていくということを、もう少し考えたい。

 知識の話にもう一回戻るとすると、僕たちは、「お勉強」というのは知識をたくさん習得していくことだと思うよね。例えば、僕が専門にしているデカルト(René Descartes)だったら、何年に生まれたとか、どんな本を書いたということは知識で、知っているか知っていないかという状況しかないじゃない?

 でも、教養がある人というのは、さっきのパスカルの話にも実は関わってくると思うんだけど、「もしかして、それって、このことじゃない?」と気づけてしまう。つまり一対一の対応関係を破っていく。その先にある、全然関係がなかったような知識や情報やデータなどとの間に見えなかったミッシングリンクを見つけるか、あるいはゴリ押しでもいいからつなげてしまう。そういうミッシングリンクを発見する能力、あるいはなかったところに結びつきをつけるような想像力や発想力、それを持った人が教養がある人で、だから全然知識がなくても、何か話していて、「あ、こんなこと、思い出したんだけど」という人は、例えば大学を出ていない人でも教養があると言っていいんじゃないのかな。


●「箱」に入った知識と教養がある人の関係


五十嵐 うん。やっぱりわたしたちが「何かについて」知るときというのは、いつでも「何かについて」の知識だから、「これは歴史のお話でしょ。これは国語の話でしょ」というように、まず「箱」があって。

津崎 そう、箱があってね。

五十嵐 それで、その箱のなかの知識の体系を身につけていくんだけど、箱が与えられているということも一つの縛りになってくる。だから、中途半端な教養の人は箱をたくさん持っていて、「あ、あの箱ね、知っている」「この箱ね、知っている」ということになる。

津崎 しかも、その箱にはラベルが貼ってあってさ。百科全書みたいに、例えば「愛について」とか、「怒りについて」とか、「自由について」とかのラベルが貼ってあって、そこにいろんな知識が入っている。

五十嵐 そう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫