「教養とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
優越感と劣等感のなか自分を更新していくのが教養
「教養とは何か」を考えてみよう(8)カンニング事変
今回は意外にも「カンニングの告白」から話が始まる。生徒時代のカンニングはありふれた行為だが、その後、優越感と劣等感にさいなまれながら、どのように自分が変化するか、そこは教養とも大きく関わってくる。それは己のなかに「規矩」をつくれるかどうかという問題でもある。(全15話中第8話)
時間:11分42秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年6月15日
≪全文≫

●カンニングの告白で分かった本当の教養がある人の行動


五十嵐 わたし、カンニングしたことがある話、この前言いましたか。

津崎 先生なのに?

五十嵐 生徒の時。

津崎 最近、試験受けたのかなと思った。

五十嵐 受験はしていない、していない。

津崎 昔の話ね。

五十嵐 そう。高校2年生の時、国語で古文の授業があるでしょ。わたし、小学生・中学生の時はいつも本当にできない子だったんだけど、高校に入ったら突然できるようになっちゃって、古文の先生が「あなたは古文、すごくできるよ」みたいに言ってくれた。そう言われたもんだから、わたしも調子に乗って、「わたし、古文のできる人なんだ」と決めちゃったの。

 それで、一生懸命勉強していたんだけど、ある定期試験の時にわたしが98点だったのね。そしたら先生がテスト(答案)を返してくれるときに、「今回最高点は98点でした」というのね。わたしのことなんだけど。でも、それは「100点がいなかった」ということで、わたしが98点だったから「ちょっと問題がまずかったかな」みたいなことを言ってくれた。

 その時、わたしは「あっ」と思った。「わたしは100点であるべきだったんだ」と思って、何をしたかというと、消しゴムで間違っているところを消して、正解にして、先生のところに持って行ったの。

津崎 「採点ミスです」と。

五十嵐 そう。「先生、わたしこの通り、ちゃんと書いています」と言ったの。そしたら先生、全部分かってらっしゃったと思うんだけど、「ああそうなのね。採点ミス、ごめんね」と言って、丸にして100点にしてくれたの。それで、わたし、もう二度とカンニングはするまいと思った。それ以降一回もしていないんだけど、古文でどんな問題が出てもちゃんと100点が取れるようにと思って勉強したのね。

津崎 レジリエンスが働いたわけね。

五十嵐 レジリエンスなのかな。

津崎 つまり、優越感と劣等感、二つの感情にさいなまれていたわけでしょ。「自分は古文ができるんだ」という優越感と、しかし100点と比べると「2点取れなかったんだ」という気持ち、満点を取れたかもしれない「可能的」な自分やそういう人に比べると、自分は「2点劣っていたんだ」という劣等感もある。

 「自分はすごくできるんだ」という優越感。それは人から与えられた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥