生成AI・大規模言語モデルのしくみ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
生成AIの推論術、鍵となる「宝くじ仮説」と注意機構とは
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(4)「自己教師あり学習」のしくみ
岡野原大輔(株式会社Preferred Networks 共同創業者、代表取締役 最高研究責任者)
「自己教師あり学習」によって、出力の精度を高める生成AI。その学習の過程では、いったいどのようなプロセスが行われているのだろうか。そのことについて、わかりやすく解説していく。さらに、実はAIは、「宝くじ仮説」で大量のデータを元にした無数の仮説を削っていったり、「注意機構」と呼ばれるしくみによって必要な情報を取り出したりしているという。いったいどういうことなのか。生成AIの推論術を解説する。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分25秒
収録日:2024年4月16日
追加日:2024年7月30日
≪全文≫

●周辺情報を分析してふさわしい単語を推測する


―― そういうパターンが実際にどういうふうにできているのかというのは、また次のところですね。

岡野原 そうですね。ここに具体的に例文を挙げて、どれくらい理解していないと、ここは当てられないかという話をさせていただければと思います。

 ここに例文で挙げているのは、「こうしたことから、私は父と一緒に***へ行き相談した」です。この「***」の部分を当てるという話なのですけれど、この部分を当てようと思った場合に、ヒントはいっぱい周りにあるわけです。例えば、「私」と「父」という言葉が出ているので、私が何者か――たとえば私が先生だとか、父が実は病気がちだとか――、そういう情報がもし分かっていれば、「ここは病院ではないか」と当たりそうですよね。

 そういう形で、周りの文章の中でヒントになっている情報があって、それがあれば、少しでもここに入ってくる単語を当てられる可能性が上がります。

 ここで重要なのは「少しでも」ということで、間違えるたびに、大規模言語モデルはせっせと「何が悪かったのか」「どこでヒントを使えたのか」ということを、たくさんのパラメータの中で持っていて、そこのパラメータを次から使うように変えようということが起きてくるのです。

 しかも、今話した「私」とか「父」とか「こうしたことから」というのは、この場では書かれていなくて、それより前の部分に書かれています。「私」は前で登場して、その周辺の文章ではどう言っていたのかということも、情報を集めて持ってこなければいけないのです。

 例えば、こういう文章を読もうとしたときに、今のような、「どの単語がどの単語と関係していて、こういう係り受け関係だ、意味は何か」ということを、それこそ言語の専門家の方が設計してやっていたのが、今言った話を全部、人間が何も与えなくてもたくさんの単語を予測するという問題を解くだけで勝手に獲得していくというのが、大規模言語モデルが内部でやっている「自己教師あり学習」になります。

―― 岡野原さんの本を読んでいてもすごく印象深かったのですが、だから人間からすると、なぜそうなっているのかということが分からないのですよね。

岡野原 そうですね。今はもう少し技術が進んでいるので、実際に学習したモデルを解剖し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ