本当によくわかる経済学史
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結局、主流派と異端派の何が違うか…経済学史の大きな示唆
本当によくわかる経済学史(16)現代の経済学のコンセンサス
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
1970年後にスタグフレーションに陥ったことにより、ケインズ的な政策よりもフリードマンの金融政策が受け入れられていくことになる。柿埜氏は「実態と理論が合っているからこそ、主流派は主流たり得る」ことを強調し、異端派との違いを解説。さらに、現在の経済状況を踏まえつつ、経済学の伝統と英知を活用することをコンセンサスとして説いてシリーズを締めくくる。(全16話中16話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分09秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2023年3月22日
≪全文≫

●スタグフレーションが与えた影響


―― 少し話が戻りますが、ケインズ政策が第二次大戦後に進み、いってみれば「終わりの象徴」になったのがスタグフレーションでした。これをもう少しご説明いただくと、どういうことになるのでしょうか。

柿埜 スタグフレーションとは、「停滞(stagnation)」と「インフレーション(inflation)」を合わせた造語です。ケインズ経済学の主流だった当時のオールドケインジアンの人たちの考えでは、「物価の上昇と深刻な不況が並存するということはないだろう」と思っていたのです。ところが実際には、貨幣供給量を増やしまくった結果、急激なインフレになったけれども、景気も良くないという状況が並存する事態が起こってしまったのです。

 当時のケインズ政策を提唱した人たちは、「これは一時的だ」「物価統制をするべきだ」「企業が悪い」「労働組合が悪い」などと滅茶苦茶なことをたくさん言ったのですが、結局、全然うまくいきませんでした。

 だから、「金融政策を物価の安定に割り当て、他は自由市場に任せる」ほうがむしろ良いというフリードマンの考え方を、皆が受け入れるようになってきます。世界各国が金融引き締めを行い、スタグフレーションは実際に収まったということで、フリードマンの考え方は正しかったということがおおよそのコンセンサスになります。

 ちなみに、インフレの抑制に一番成功したのは、実は日本です。その後、デフレになってしまったことを考えると残念な話ですが、当時は大成功の例でした。

 そして、だんだんと大きな政府から小さな政府へという流れが起こるわけですが、若干、脱線といっていいものが1つあります。それが「新しい古典派(New Classical School)」です。

 これは「新古典派(Neo classical School)」と間違えやすいのですが、どういう考え方かというと、完全競争と価格伸縮的(要するに、価格も自由に設定できる)というモデルです。経済がかなり競争的な状態にあるモデルを使い、かなり自由放任主義的な主張をするグループです。

 その主な理論として、「合理的期待形成の理論」があります。これ自体はそれほど間違ってはおらず、その後のニューケインジアンも取り入れている理論です。「人々は過去の出来事を延長して考えるのではなく、いろいろな情報をきちんと合理的に...

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