本当によくわかる経済学史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
異端の経済学者…ドイツ歴史学派、社会主義、マルクス主義
本当によくわかる経済学史(5)古典派を批判した異端者たち
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
古典派経済学が一世を風靡した時代には、それに批判的な意見も登場する。それが、ドイツ歴史学派や、社会主義、マルクス主義といわれるグループだった。これらの考え方は今でも根強く残っているのだが、やはり「異端」であって、問題含みの主張が散見される。具体的にはそれぞれどのようなことを主張したのだろうか。当時の時代状況や一般への受け止められ方を含め、詳細に解説する。(全16話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分12秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2022年12月14日
≪全文≫

●かなり問題含みの保護主義…リストの主張


―― そういった時代の流れの中で、異端の経済学者も出てくるのですね。

柿埜 古典派に対して、当然ながら反発もありました。それが、資料に挙げた異端の経済学者です。経済の調子が悪くなってくると彼らは影響力を増し、強くなってくるわけです。

 1つは「ドイツ歴史学派」といわれるグループです。これは保護貿易主義を唱えたドイツの経済学者フリードリッヒ・リスト(以下、リスト)の流れを汲んでいるグループです。彼らは「歴史法則主義」を取っています。

 歴史法則主義とは何かというと、「普遍的な経済法則など存在しない。経済は歴史の段階によって法則がどんどん変わっていくのだ」という考え方です。だから、「古典派の主張は先進国にしか当てはまらない。遅れた国は保護貿易が必要だし、政府の介入が必要だ」というものが、歴史学派の主な主張です。

 というよりも、彼らは「経済法則などない」という点にとても重心を置いています。でも法則がなかったら、経済学は歴史の研究に解体してしまいますよね(経済学という学問は成立せず、単に歴史を研究すればいいだけになってしまいます)。だから、かなり問題含みの主張でした。

―― 第二次世界大戦後、独立国が増えた中でも、いわゆる保護貿易主義というか、「先進国から輸入しないで自国の産業を高める」という政策を、かなりの国が採用しました。

柿埜 そうです。そういった考え方はその後もずっと根強く残っていて、第二次世界大戦後に途上国は一斉に保護貿易主義を採用して、「輸入代替工業化」を行います。これは全部、ことごとく失敗しています。これを行わなかった国がその後、大きく成長したわけです。例えば、台湾や韓国がそうです。もちろん日本も基本的に、これを行わないで発展した国です。要するに、保護主義は結局、歴史的にはいつも失敗するのですが、この時代からそういった考え方(保護主義)はあったのです。

―― 根が非常に深いのですね。

柿埜 リストは今でも保護主義者の間でとても人気がある人物なのですが、最後に自分は受け入れられないと思って悲観して自殺してしまうという、非常に気の毒な学者ではあります。

 ただ正直いって、リストは、やはり少し危ない思想家です。リカードやアダム・スミスを批判しているのですが、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生

人気の講義ランキングTOP10
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の魅力と面白さの深い秘密を探る…波乱万丈の神話の「構造」とは?
松村一男
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(4)日本人の仏教と先祖崇拝
実は日本人は「仏教」も「先祖崇拝」も真面目に考えなかった?
橋爪大三郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(4)官僚集団の問題と井伊直弼のジレンマ
井伊直弼のジレンマ…政治家の実力と同居した致命的な矛盾
山内昌之
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(1)東方大平原と殷周革命
中国古代史の舞台を知る――東方大平原と渭水盆地そして殷周革命
鶴間和幸
資本主義の再定義…哲学で考える(3)害なき利とコミュニティの時代
強欲資本主義は死んだ…他者を助けることのできる他者を助ける
中島隆博