本当によくわかる経済学史
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重商主義と重農主義…古典派経済学の前段階の主張とは?
本当によくわかる経済学史(2)重商主義と重農主義の真実
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
「重商主義」と「重農主義」という考え方が16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで登場した。重商主義は、それ以前にはなかった「経済に法則がある」という発想から出てきたものだが、やがてその問題点に気づいたケネーが「経済は自由放任がいい」という重農主義を提唱する。今回は、それぞれ、どのような背景から登場し、具体的にどのような内容を主張したのか。また、どのような点が至らず廃れていったのか。古典派経済学の前段階となるこれら2つの考え方を解説する。(全16話中2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分47秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2022年11月23日
≪全文≫

●重商主義の始まり――「経済には法則がある」という気づき


―― いよいよ深掘り講義に入っていきたいと思います。古典派経済学の話に入る前に、経済はどのように考えられていたかについて、ここではよく教科書で聞いた記憶のある「重商主義」と「重農主義」がどういうものなのかということをお聞きできればと思います。

 重商主義は16世紀から18世紀頃にかけて、重農主義が18世紀頃ということですが、これはそれぞれ、どのように理解すればいいのでしょうか。

柿埜 重商主義について、彼らは自ら重商主義と名乗ったわけではなく、アダム・スミスの後の人たちが「少し間違っているよね」ということで付けたレッテルです。ですから、統一的な考え方があるわけではないので、重商主義と呼ぶのは少し気の毒なところがあります。

 経済学が登場する前の時代、例えばプラトンやアリストテレスも経済の話はしていました。ですが、「何が正しいことで、その正しいことを皆に強制するにはどうしたらいいか」という議論をしていたのです。「経済に法則がある」という発想は、実はなかったのです。

 それが、「経済とは、もしかしたら正義や政治といったものとは別の学問なのではないか」ということを考え始めたのが、重商主義です。その点では彼らは偉かったのですが、ところがある意味では、変な考え方に入ってしまいました。現代の、普通の経済評論家がおっしゃっていることですが、それはときどき「重商主義の発想」であるということがあります。

―― どういうことですか。

柿埜 例えば、「どこかの国が繁栄していたら、他の国はその犠牲になっている」といったものです。重商主義とは基本的に、「貿易黒字をため込んで、貨幣がどんどん入ってくる。そうすると国は豊かになる。なぜかというと、お金とは富だから」という発想なのです。

―― お金の量が世界で決まっていて、例えば英国が全部取ってしまったら、他の国が貧乏になりますよ、と。

柿埜 そうです。要するに、「何らかの生産活動があり、それが経済活性化の源泉だ」という発想はあまりありません。特に初期の重商主義者はそうです。ですから、完全なゼロサムの発想をしている人がすごく多かったのです。つまり、「自分の国が豊かになるには、他の国から貿易でどんどん仕事を取らなければいけない。自分の国...

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