本当によくわかる経済学史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
貨幣数量説と大恐慌…大恐慌の本当の原因はFRBのミスだった
本当によくわかる経済学史(8)1929年世界大恐慌の真実
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
よく知られているように、1929年から大恐慌が始まってしまう。はたして、大恐慌はどうして起こったのだろうか。その原因を知るためには、まず、貨幣数量説を知っておいたほうが良い。そして貨幣数量説を理解するためには、「長期的には中立的」だが「短期的には大きく景気を変化させてしまう」ことを踏まえておく必要がある。真っ当な経済学者の多くは、「貨幣の量を安定させれば経済が安定するはずだ」と皆、思っていた。だが、大恐慌が起きてしまう。このために貨幣数量説は批判されることになるのだが、実は大恐慌はきちんと金融政策を行っていなかったために起こったものだった。今回はその舞台裏を解説する。(全16話中8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分10秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2023年1月25日
≪全文≫

●「貨幣数量説」の重要なポイントは「短期的な影響」の大きさ


―― 大恐慌の話に行く前に、お話のあった貨幣数量理論はどういうものかを理解した上で、この後の時代に行きましょう。

―― ここにコペルニクスなどの名前も出てきていますが、どういうことでしょうか。

柿埜 「貨幣はどういうものか」ということは、非常に古くから論じられていました。また「貨幣が物価や景気に関係があるのではないか」という発想は、本当に古いものです。中世の人や古代の人も、これを知っていたと思います。実はコペルニクスは、生前は天文学者ではなく、むしろ経済学者として有名だった人で、貨幣を安定させるにはどうしたらいいかと国王から諮問を受けたりしています。だから、非常に古くからある考え方なのです。日本では「貨幣数量説」ということが多いのですが、「theory」ですから本当は「理論」と訳したほうがいいと私は思っています。

 この考え方は古くからあったのですが、これを現在ある形に近いものに洗練したのがヒューム(アダム・スミスの友人でもあった人)です。これはその後、先ほども出てきた「限界革命」のジェボンズ、マーシャル、この専門家として非常に有名なフィッシャー、それからスウェーデン人のヴィクセルといった人たちが完成したモデルです。

 この理論は、2つの柱があります。

 1つは、「貨幣は長期的には中立的だ」ということです。物価は、長い目で見ると貨幣の量によって決まっている。過剰に貨幣が供給されるとインフレになるし、供給が少なすぎるとデフレになる。だから、重商主義者が言うように貨幣を貯め込んでも、豊かにはならないわけです。生産量を決めているのは、生産技術や資本蓄積、実物的な要因だということです。

 ただ、貨幣数量説というと、(このスライドの)1だけだと思っている人がとても多い。ですが1だけを唱えた貨幣数量説の支持者はいません。これは勘違いです。

 重要なのは(このスライドの)2で、貨幣の変動が短期的にはすごく景気を変化させてしまうのです。

 貨幣が予想外に減少して皆、手持ちのお金が少なくなったら、今の価格では取引がうまくいきません。貨幣の量が減ってしまうと、今までの貨幣の量を前提にしていた価格は、全て高すぎる価格になってしま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫