『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
貨幣、帝国、世界宗教は人類を一つにまとめる装置だった
『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』(4)人類の統一と科学革命
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
時はさらに進み、貨幣や帝国、世界宗教といった装置が生み出されることで、遠く隔たった場所に住む人類は、相互に集団として認識できるようになった。また、「知らないという事実を知る」ことで「知りたい」という強い欲求が生まれて、近代科学は急速に発展した。人類はこれまで説明してきた4つの要素によって、現在の繁栄を獲得してきた。今回は、『サピエンス全史』第3部・人類の統一と第4部・科学革命についての丁寧な解説とともに、今後その知見をどのように役立てて行くべきかの示唆を与える。(全5回中第4回)
時間:11分24秒
収録日:2019年4月3日
追加日:2019年8月2日
≪全文≫

●貨幣、帝国、世界宗教という発明が人類をひとまとまりにした


 次は、人類の統一です。ここで私が特に重要だと思うのは、貨幣という発明です。貨幣は、誰にとっても同じ価値です。例えば100円や1,000円という貨幣を持っていれば、それを使って何をするのも自由です。1,000円で何かを買っても良いですし、どこかに旅行しても良いですし、何をしても良いのです。みんなが違う欲望を持っていても、共通の貨幣を使って全員が異なる欲望を満たすことができるのです。

 ですので、商人にとっては誰でも顧客となります。人種や国、言語の違いは関係ありません。みんなの具体的な価値はそれぞれ異なりますが、貨幣に価値があるということはみんなが共通して了解することで、貨幣を通じて、みんなが同じ価値を共有できるようになります。これによって、国境を越えて、地理的に遠く離れた場所でも、貨幣を用いて交易することができました。貨幣という、誰でも持って使うことができる抽象的な価値という存在が、世界中のさまざまな人々を結びつけたのです。

 これにより、欲望が無限に成長していくわけですが、その結果、文化が異なっても同じ1人の王様が同じ貨幣を使って全員を支配するという、帝国が出現します。大きな帝国の中で支配された人たちには、例えばローマ帝国のガリア人など、辺境の人々もいますが、文化や言語が異なる中で、貨幣と皇帝を共有しているという同じ一つの幻想によって、統一されていくわけです。これが最初のグローバル化であるということができると思います。

 さらにその後、キリスト教やイスラム教といった世界宗教が出現します。言語が異なっても、宗教という虚構、幻想を共有していることで、集団としてのまとまりを形成することができます。

 ここで挙げた貨幣、帝国、世界宗教は、人類を一つの大きなくくりとしてまとめることを可能にした装置だったということができると思います。こうした装置の存在が、人類を非常に強い存在にしたともいえるでしょう。


●知への欲求が近代科学の発展を産んだ


 最後が科学革命です。この部分では、大航海時代や博物学の時代に、世界地図をどうやって書くことができたかということを、面白く取り上げています。昔の世界地図は、知っている情報のみで、全て埋まってい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(2)『2001年宇宙の旅』と現代への影響
オデュッセイアは数多の物語の源泉…映画『2001年宇宙の旅』からゲームまで神話の驚くべき影響
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子