●日米比較でみるお金のつくられ方とその影響
続いては、それぞれのお金の生まれ方と量の変化、こういったことと景気の関係についてみていきます。
お金の量が短期間に大量に変化すると、景気に大きく影響を与えるケースがあります。近年の例では米国のリーマンショックとコロナショックです。日本ではバブル崩壊です。このページ(スライド)はアメリカにおいて、2000年以降発生した大きな経済ショックとその時のお金の動きについて示しています。
面のグラフはお金を生み出している2つの要因、青い部分が銀行貸出で緑の部分が銀行による国債購入を伴う財政支出の量を示しています。折れ線グラフはその前年比で、青い線が銀行貸出による増減、緑の線が財政による増減、赤(の線)がその合計です。
まずは2008~2009年のリーマンショックの例ですが、このグラフをみても分かるように、リーマンショックの前後では1から2にむけて青い線民間の貸出の伸びの大きな変化が発生しているのが分かります。一方、コロナショックの際には3のように主に緑の線で示した銀行の国債購入と財政支出によってお金の量が大きく変化しているのがみてとれます。また、こうした推移により、面のグラフでは緑色の部分、すなわち国主導のマネー創出の比率が増えているのが分かります。
次のページは日本の例です。こちらは1980年代のバブル崩壊から現在に至るまでで、左側の1から2、バブル崩壊時はアメリカのリーマンショックと同じように民間貸出を主因とするお金の量の大きな変化がみてとれます。アメリカと日本が違うのはその後もたつく時間が10年ほどあることです。
そして2013年以降、アベノミクスで緑色すなわち財政要因での折れ線グラフが急上昇しています。パンデミックの時も増えていますがその前のアベノミクスの時のほうが、伸び率が高いことが分かります。
こうしてみると、現在の日本におけるマネーの半分は政府の国債発行と銀行による購入によってつくられていることが分かります。また、日本の場合、これだけお金が増えても、景気には影響していないというのがアメリカとの違いでしょう。
●銀行貸出が景気を左右するメカニズム
ところで、このような景気変動...