お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
緊縮&積極の是非は!?~財政出動が及ぼす景気への影響
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(3)お金がつくる景気の波…民間VS政府
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
お金の量が短期間に大量に変化すると、景気に大きく影響を与えるケースがある。米国のリーマンショックやコロナショック、さらに日本のバブル崩壊やアベノミクスなどを検討しつつ、お金の生まれ方と量の変化、そして景気の関係について考えていく。とりわけ、銀行貸し出しによってマネー量が短期間に変動した場合と、財政主導によるマネー創出の比較から見えてくるものとは。(全6話中第3話)
時間:13分34秒
収録日:2024年12月4日
追加日:2025年3月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●日米比較でみるお金のつくられ方とその影響


 続いては、それぞれのお金の生まれ方と量の変化、こういったことと景気の関係についてみていきます。

 お金の量が短期間に大量に変化すると、景気に大きく影響を与えるケースがあります。近年の例では米国のリーマンショックとコロナショックです。日本ではバブル崩壊です。このページ(スライド)はアメリカにおいて、2000年以降発生した大きな経済ショックとその時のお金の動きについて示しています。

 面のグラフはお金を生み出している2つの要因、青い部分が銀行貸出で緑の部分が銀行による国債購入を伴う財政支出の量を示しています。折れ線グラフはその前年比で、青い線が銀行貸出による増減、緑の線が財政による増減、赤(の線)がその合計です。

 まずは2008~2009年のリーマンショックの例ですが、このグラフをみても分かるように、リーマンショックの前後では1から2にむけて青い線民間の貸出の伸びの大きな変化が発生しているのが分かります。一方、コロナショックの際には3のように主に緑の線で示した銀行の国債購入と財政支出によってお金の量が大きく変化しているのがみてとれます。また、こうした推移により、面のグラフでは緑色の部分、すなわち国主導のマネー創出の比率が増えているのが分かります。

 次のページは日本の例です。こちらは1980年代のバブル崩壊から現在に至るまでで、左側の1から2、バブル崩壊時はアメリカのリーマンショックと同じように民間貸出を主因とするお金の量の大きな変化がみてとれます。アメリカと日本が違うのはその後もたつく時間が10年ほどあることです。

 そして2013年以降、アベノミクスで緑色すなわち財政要因での折れ線グラフが急上昇しています。パンデミックの時も増えていますがその前のアベノミクスの時のほうが、伸び率が高いことが分かります。

 こうしてみると、現在の日本におけるマネーの半分は政府の国債発行と銀行による購入によってつくられていることが分かります。また、日本の場合、これだけお金が増えても、景気には影響していないというのがアメリカとの違いでしょう。


●銀行貸出が景気を左右するメカニズム


 ところで、このような景気変動...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎