お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法
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「実質所得低迷」の構造的要因と「緊縮財政」の歴史的悲劇
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(5)円安と実質所得低迷の構造的要因
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
日本国内でのお金の回りが芳しくない一方、海外への資金流出が強まっている。そこに日本経済の構造的課題と円安の要因が見え隠れする。今回はそれらを掘り下げるとともに、過去の緊縮財政が引き起こした悲劇も振り返りながらインフレや所得格差への影響について解説する。(全6話中第5話)
時間:11分52秒
収録日:2024年12月4日
追加日:2025年3月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●海外への資金流出と円安


 さて、日本の状況をもう一度整理します。これまで見たようにお金はあまり回っていないのですが、実は一部は海外に向かっています。

 それは上の囲みにもあるように、企業の海外直接投資、証券投資における配当や利子の外貨での再投資、海外へのデジタルサービスへの支払い、個人の海外株、投信の購入などです。

 下の左側のグラフをご覧ください。企業の直接投資や、証券投資の配当・利子の再投資額に加え、日本人が海外に支払うデジタルサービスの額、さらに反対にお金が入るサイドとしてインバウンドで外国人が日本で支払う金額を示しています。デジタルサービスの支払いとはパソコンや携帯のアプリ、ネット上の動画サイト・コンテンツへの支払いなどを想像していただければいいと思います。

 これを見ると、海外への支払いつまりドル需要がどんどん拡大しています。インバウンドの旅行代金も増えており円買い需要もあるのですが、それ以外のドル買い要因が大きく上回っています。

 また、家計も、予備的需要を超えた資金の一部を、海外投資に向けている様子が伺えます。新NISAなどでは海外株、海外投信を購入する人が増えており、個人の資産が一部海外にしみ出しているように思われます。これらは構造的な円安要因です。よく、現在の円安は日米の金利差や投機筋による短期的なものといわれることが多いのですが、このようにベースの需給が全く変わってきているということがポイントです。

 金利差でアメリカに投資するのは、それだけ表面的に金利差だけで投資するということではなく、どちらかというと、アメリカの成長率が高い、だから金利も高い、ということだと理解していただいてもいいかと思います。

 さて、このように構造的な円安要因はインフレの要因でもあります。


●円安がもたらすインフレへの影響


日本はただでさえ、エネルギー、食糧需給率が低いのです。よって、足りない分は輸入する必要がありますが、円安で価格が上昇しています。食料については国内で生育、飼育する際に肥料など、各種資源・エネルギーを使いますのでその分も上乗せされます。

 それにより、エンゲル係数という出費にかける食糧費の比率は上昇しており、1970年代後半と同じような水準に...

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