深刻化する「複合危機」を分析する
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慢性デフレと急性インフレが同時進行…日本の危機と現状
深刻化する「複合危機」を分析する(2)世界の危機、日本の危機
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
世界的な危機としては、パンデミック、戦争、エネルギー危機をはじめ、金利高騰やインフレ、気候変動などがある。日本では、特に慢性デフレと急性インフレの同時進行、少子高齢化、自然災害などの危機が注目されている。これらの危機を大きな視点で捉えると、慢性的な危機と急性的な危機に分けられる。急性的な危機は制度化による対応が重要となるが、慢性的な危機は一体誰がいつ頃から準備しておけばいいのか。今回は、世界も日本もすでに両方の危機に直面している現状と今後について考える。(全2話中第2話)
時間:9分09秒
収録日:2023年12月21日
追加日:2024年2月18日
≪全文≫

●世界の危機の中、日本で起こっているのは慢性デフレと急性インフレ


 引き続いて、世界の危機、日本の危機ということでお話をいたします。

 これは前回のポリクライシスを考えるときの具体例として、何を見ていったらいいのかということを、世界と日本で考えたいということです。

 世界の危機は、マーティン・ウルフの説では、例えばわれわれはパンデミックを経験しました。それから、戦争、エネルギー危機を経験しました。また、世界中で金利が高騰しました。インフレーションが起こりました。さらに気候変動もあります。そこまでマーティン・ウルフは言っているわけですが、サイバーウォー、つまりサイバー危機も加えたほうがいいというのは私の説ですが、それほどここに関しては意見の違いがあるわけではありません。

 私が述べたものは、認知空間ということを強調していますが、認知空間を加えれば物理空間で起こる危機のどのような領域があるのかというのは、それほど意見が違うわけではないということです。

 日本の危機というのは、世界の危機にプラスして、こんなことが起こるでしょうということです。

 財政破綻で金利が急騰するのかについては、財政破綻が現に起こっているという人もいるし、それは大丈夫、安全という人もいるし、意見は分かれます。しかし、日銀は出口を非常に慎重に見つけようとしています。何を警戒しているのかというと、金利の急騰です。

 日本で起こっている現象は、慢性デフレと急性インフレです。急性インフレというのは、ウクライナ危機、あるいは海外の金利の上昇によって為替レートが変わります。為替レートが変わってくると輸入インフレが起こります。そして同時にサプライチェーンが分断されると、その部分がまた値段が上がる、エッセンシャルワーカーがいない、というようなことでインフレが起こります。

 このとき、慢性デフレと急性インフレが同時に起こっているとすると、政策を打つときに、一体どちらを向いているのか分かりません。物価が上がるのを防ぐために、政府はいろいろと手を打ちますが、物価を上げたいというのが慢性デフレの処方箋です。ですから、2つ両方を一遍にやっているので、国民としては非常に分かりにくいということです。

 ただ、慢性デフレは脱却できるの...

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