「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「民のための銀行をつくる」渋沢栄一が考えた日本の道
「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔(2)徳川幕府の消滅と「和魂洋芸」
歴史と社会
童門冬二(作家)
徳川幕府最後の将軍・徳川慶喜に仕え、使節団をひきいて渡仏した渋沢栄一。フランス滞在中におこったある出来事が、彼に「民のための銀行をつくる」という志を抱かせる。そこには「和魂洋芸」という日本が進むべき道への思いがあった。(全4話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分36秒
収録日:2019年4月24日
追加日:2021年2月3日
≪全文≫

●使節団として渡仏中に幕府が消滅


童門 この一橋慶喜が京都で(禁裏御)守衛総督になっていますから、結局、京都に行ってお仕えするようになりました。ところが、慶喜がやはり政局に巻き込まれて、結果的には15代将軍を引き受けなければならなくなってしまいます。そして、引き受けた後、フランスの皇帝ナポレオン3世と非常に仲良くなります。

 その頃、ナポレオン3世がパリで万国博覧会を開くんですね。そして、それに慶喜を招待する。しかし、当時は将軍の座や徳川幕府の位置そのものがどうなるか分からない時期ですから、とても日本を空けられない。そこで、弟の(徳川)昭武(あきたけ)を代わりに行かせます。ナポレオンも「いいよ」ということで、待っているということになります。

 そうして、どのぐらいの規模なのか、使節団ができます。御一行様で100人ぐらいなんでしょうかね。その事務長に、渋沢栄一が命ぜられる。それで、パリに行きました。向こうでも活躍している。すると、行っているうちに慶喜が大政奉還する。それから、その1カ月半後の慶応3年12月9日に王政復古で、徳川幕府が消滅してしまうと、こういうことなんですね。

── はい。

童門 これで事務長が弱ってしまったんです。というのは、滞在費がぷっつり絶えてしまうわけだから。

── そうですね。とても滞在費を送っている状況ではないですね。

童門 向こう(幕府)も大変ですからね。いや、なくなっちゃったんだから。すると、その弱っているところに訪ねてきた人がある。これがフランスのパリで大きいビルを構えている、ポール・フリュリ・エラールというイタリアの車みたいな名前の頭取なんです。

「ムッシュ渋沢、お困りでしょう」と言う。「やあ、困りました。送金が絶えてしまって、帰りの船の金もどう工面しようかと」「残金は幾らかおありか」「いや、多少ありますが」。すると、「私にお預けなさい」と。「私の銀行というのは、実は事業に融資をしていて、そういう人たちがお金をお預けになると、益金があれば一定の率でそれをバックしている。それを“株式”という。これを全部扱っているのが、私のナショナルバンクだ。なぜそんなことを言うかというと、私はかねてからあなたに感心していたんだ」と。

「お若いのに、ほんとに若い、さらに若い昭武さんというご主人を大事にして礼を尽くしている。使節団の皆さん全員礼儀...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
編集部ラジオ2025(20)納富信留先生の「アカデメイア」講義
プラトンのアカデメイアからテンミニッツ・アカデミーへ
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(2)ヒトの子育てと脳の関係
チンパンジーは乱婚、ヒトは夫婦…人間の特殊性と複雑性
長谷川眞理子
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
片山杜秀
『江戸名所図会』で歩く東京~上水と十二社(1)「水の都」江戸の上水道
玉川上水の歴史…約8カ月で完成?玉川兄弟の功績とは
堀口茉純