「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「論語と算盤を一致させよ」第一国立銀行に懸けた思い
「近代日本をつくった男、渋沢栄一」の素顔(3)政府の役人を辞し民間銀行創設へ
明治2(1869)年に静岡に商法会所をつくり、大隈重信に請われ、政府の役人となった渋沢栄一。しかし、大蔵省では西郷隆盛や大久保利通と対立。野に下って、パリで抱いた志である第一国立銀行をつくることになる。そこで渋沢が行員にかけた言葉、その思いが、日本の金融機関の原点ともなっている。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分07秒
収録日:2019年4月24日
追加日:2021年2月10日
≪全文≫

●13年の借金を3年で完済


童門 まず静岡商法会所というのをつくった。これは商工会議所とはちょっと違うんですね。むしろ今の協同組合か、いわゆるJAがする金融業みたいなものでしょうかね。まず武士たちに刀を捨てさせようとしますが、彼らに米作りはできない。それから時代の目玉商品になっている絹(つくり)、これも難しい。「やれるのはお茶だけだろう」となって、お茶の生産協会をつくろうとなった。

 だけど、これもやはり最初の資金が要るんです。それをまず静岡のお金持ち、富んだ商人とか大地主とか、こういう人たちに話を持ち掛けて出資をしてもらう。そして、これをただ借りるのでなく、その資金が生きて利益を上げるようになったら、その1割とか2割をバックするという、そういう株式の制度をここでまずやってみようとなるわけですよ。

 その頃、ちょうど政府が新貨幣を発行しました。太政官札というのを。それを普及するために、各大名家に貸し付けていたわけです。それで、大名の知行1石について1円だということで、70万円来たわけですよ。

── 70万石ですからね。

童門 これが13年賦で利子が年3分となっていたんですが、事業が成功してお茶が飛ぶように売れて、浪人たちもたつき(生活)のめどが立って、13年で返す金を3年で返してしまった。それがうわさになって、政府の耳に入る。この頃、政府の大蔵省は真っ赤っかの火の車で、それからさらに、太政官札を出した裏には、藩が出していた藩札がある。

── 藩のそれぞれの紙幣ですね。

童門 そうですね。今でいう自治体の起債みたいなものですね。それを全部引き受けてしまっているから、どうしていいか分からなくなってしまっていた。本当の火の車。そこで、「うまく成功したという渋沢なる者を呼べ」と言ったんです。「それに仕事してもらおう」と。それで使いが来る。もちろん渋沢は、前回言った和魂を重んずるほうですから、「忠君は二君に仕えずという言葉がある。私の主人は徳川慶喜さん一人だ。お断りする」と。しかしその使者もそのまま帰るわけにいかない。慶喜さんに頼むわけです。

そして渋沢が慶喜に呼ばれます。「おまえ、断ったそうだな」「断りました。私の主人はあなただけです」と。「そりゃうれしいけども、今それをやると、徳川慶喜は渋沢栄一を使ってまた何か謀反の資金を稼いでいると言われてしまう。俺は朝敵の汚名を一...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
明智光秀の真実(1)謎につつまれた前半生
明智光秀は「主殺しの悪人」か?…諸説入り乱れる人物像の謎
小和田哲男
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(5)否定神学とラカン理論の限界
暴いてはいけない!?心を理解する上で重要な「否定神学」とは
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(6)リベラルアーツの本質
自分にしかできない自分の世界を味わうために、他の人とつながる
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
生活習慣病予防に~健診結果の正しい読み方(1)データから生活習慣を考える
内臓脂肪がなぜ増えた?データから考えるリスクファクター
野口緑
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
中西輝政