この講義シリーズは第2話まで
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幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断
明治初期の国家建設と維新三傑の動き
幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断(6)明治国家と維新三傑
歴史と社会
落合弘樹(明治大学文学部史学地理学科専任教授/博士(文学))
大久保利通と木戸孝允らが岩倉使節団として派遣される中、西郷隆盛ら留守政府は数々の改革を行う。その後に西郷が西南戦争を起こすと、戦争を経て中央集権化が達成されることとなる。シリーズレクチャー最終話では、西郷・大久保・木戸という維新三傑を中心に行った明治初期の国家建設について解説する。(全6話中第6話)
時間:15分26秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
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≪全文≫
●廃藩置県後の明治国家の建設と岩倉使節団の派遣
明治維新の前は全国で250以上の大名が存在したわけですが、廃藩置県によって藩を廃止して、天皇を中心とする政府が全国全てを統治するという体制が出来上がります。この廃藩置県は、幕末以来活躍してきた、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允といった三人の実力者が結束した上で断行されました。
しかし、そういう統一国家が出来上がった後には、これからどういう国づくりをするのかが模索されるわけです。そしてここで、かなり思い切ったことが行われます。それが岩倉使節団の派遣だったわけです。写真に写っているのは、真ん中にいるのが大使の岩倉具視です。左側が参議の木戸孝允で、一番右側が大久保利通です。そのすぐ横に立っているのが伊藤博文です。
こういった政府の重要人物が長期間、アメリカ、イギリス、その他の欧米列強へと、いわば長期研修旅行に出かけるのです。
この使節団の目的は、まずは欧米各国との親善です。後は、この時期には、幕末に結ばれた条約の期限が来ていました。ただ、条約はこのまま維持しようとします。それはなぜかというと、今はまだ準備不足だということです。そういうことで、今の条約をそのまま継続するように交渉をするのが、2番目の目的でした。
ただし、1番の目的は、欧米列強の近代化がどのように達成されたのか、その基礎というものを知ることでした。これから国家を背負って立つ人物たち、あるいは知識人たちが、欧米列強を実際に見聞して、今後の国づくりの基礎を打ち立てよう、という目的があったのです。
大久保利通は、イギリスに行って、煙突から黒煙が立ち上がり、機械工業が発達していろいろな製品を作っていることに、大きな衝撃を受けました。イギリスはもともと、日本と同じでそれほど豊かな国ではなく、いわば島国でした。しかしながら、今や世界を押さえている。それでは一体、どういう手段でそういうことが可能になったのか。それは、産業を育成して工業を発展させたことです。そこで、日本もそれに続くのだという決心をするわけです。
また、それまでにいろいろな国内改革を主導してきた木戸孝允は、いろいろな改革をやったのですが、欧米列強のような進歩に到達するにはまだまだ落差があると、痛感するのです。
●廃藩置県後の明治国家の建設と岩倉使節団の派遣
明治維新の前は全国で250以上の大名が存在したわけですが、廃藩置県によって藩を廃止して、天皇を中心とする政府が全国全てを統治するという体制が出来上がります。この廃藩置県は、幕末以来活躍してきた、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允といった三人の実力者が結束した上で断行されました。
しかし、そういう統一国家が出来上がった後には、これからどういう国づくりをするのかが模索されるわけです。そしてここで、かなり思い切ったことが行われます。それが岩倉使節団の派遣だったわけです。写真に写っているのは、真ん中にいるのが大使の岩倉具視です。左側が参議の木戸孝允で、一番右側が大久保利通です。そのすぐ横に立っているのが伊藤博文です。
こういった政府の重要人物が長期間、アメリカ、イギリス、その他の欧米列強へと、いわば長期研修旅行に出かけるのです。
この使節団の目的は、まずは欧米各国との親善です。後は、この時期には、幕末に結ばれた条約の期限が来ていました。ただ、条約はこのまま維持しようとします。それはなぜかというと、今はまだ準備不足だということです。そういうことで、今の条約をそのまま継続するように交渉をするのが、2番目の目的でした。
ただし、1番の目的は、欧米列強の近代化がどのように達成されたのか、その基礎というものを知ることでした。これから国家を背負って立つ人物たち、あるいは知識人たちが、欧米列強を実際に見聞して、今後の国づくりの基礎を打ち立てよう、という目的があったのです。
大久保利通は、イギリスに行って、煙突から黒煙が立ち上がり、機械工業が発達していろいろな製品を作っていることに、大きな衝撃を受けました。イギリスはもともと、日本と同じでそれほど豊かな国ではなく、いわば島国でした。しかしながら、今や世界を押さえている。それでは一体、どういう手段でそういうことが可能になったのか。それは、産業を育成して工業を発展させたことです。そこで、日本もそれに続くのだという決心をするわけです。
また、それまでにいろいろな国内改革を主導してきた木戸孝允は、いろいろな改革をやったのですが、欧米列強のような進歩に到達するにはまだまだ落差があると、痛感するのです。