幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
条約勅許問題…井伊直弼の「無勅許調印」の背景とは?
幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断(2)孝明天皇と井伊直弼
落合弘樹(明治大学文学部教授)
通商条約締結をめぐる政局では、孝明天皇の条約拒絶と井伊直弼の動きがポイントとなる。大老として幕政を握った井伊は、将軍継嗣問題で対立する一橋派を弾圧するが、桜田門外の変で命を落とす。(全6話中第2話)
時間:12分45秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
≪全文≫

●通商条約締結に向けた幕府の動き


 今回は、孝明天皇と大老・井伊直弼というテーマでお話しします。幕府がアメリカとの間で和親条約を締結し、その結果、アメリカの船が下田と函館に来るようになりました。それから後に長崎が加わります。また、ロシアとも同じような条約を結びます。しかし、アメリカにとって和親条約は、あくまで第1ラウンドにすぎません。第2ラウンドは通商条約、つまり貿易をすることがアメリカの本来の目的だったのです。

 そういった中で、アメリカはタウンゼント・ハリスという人物を、公使として日本に派遣します。彼の使命は、日本に通商条約を結ばせることでした。ハリスは粘り強く幕府の担当者と交渉したのですが、それに対応したのが、佐倉藩の殿様であった堀田正睦でした。堀田正睦は、勇退した阿部正弘に代わって老中の首座についていたのですが、非常に開明的な人物でした。また、非常に深い海外の知識を持っていた人物で、彼の下についていた藩士の中には、順天堂大学の基礎をつくった佐藤泰然などがいました。それ故、通商条約を結ぶことは、これはやむを得ないという考え方を持っていたわけです。

 そこで、堀田老中も阿部老中の方針を引き継いで、政治については本来、幕府が単独で決めるべきという考えもある中、大名に諮ったわけです。しかし、そこではいろいろな意見が出て、堀田老中は完全にまとめきることができませんでした。そこで、堀田老中は京都に上がって天皇の許可を求めようとしたのです。


●将軍継嗣問題における一橋派と幕閣主導派の対立


 また、この通商条約の問題と並んで当時の日本国内で横たわっていた問題が、次の将軍候補を誰にするかという、将軍継嗣問題でした。当時、13代将軍である徳川家定は、非常に病弱でした。島津家出身の篤姫と結婚したのですが、なかなか子どもに恵まれませんでした。跡継ぎが決まらないまま将軍が死んでしまうと、幕府にとっては非常な緊急事態になります。

 そこで、早いうちに次の将軍を決めようという議論が出てくるわけです。仮に従来の決め方を踏襲するならば、今の将軍に子どもがいない場合、一番血筋が近い人から選ぶことになります。そうすると、家定から見て一番近い血筋は、紀州藩主だった慶福という人物でした。しかしながら、今や日本は未曾有の国難に直面しています。そういった段階では、徳川一門の中で一番賢...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(5)持続可能な天下泰平の制度設計
関ケ原はトップ官僚・石田三成と中央集権体制をつぶす戦い
片山杜秀
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹