幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大政奉還を行った徳川慶喜の意図と新政府の成立
幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断(4)大政奉還と新政府の成立
落合弘樹(明治大学文学部史学地理学科専任教授/博士(文学))
大政奉還を行った徳川慶喜の意図はどこにあったのか。そして、鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜の狙いは頓挫するが、なぜそうなったのか。新政府成立への流れを追いながら解説する。(全6話中第4話)
時間:15分57秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
≪全文≫

●徳川慶喜による幕府の立て直しと兵庫開港問題


 今回は、大政奉還と新政府の成立について説明します。

 前回説明したように、幕府は長州一藩との戦争に敗北してしまいました。これは、幕府にとっては非常に致命的な事態だったわけですが、新たに将軍となった慶喜の下で急速に幕府の立て直しが図られていきます。例えば、フランスから軍事顧問団を招いて軍制改革を行うなど、いろいろな措置が講じられるわけです。

 一方で有志大名たちからすると、これは最後の勝負時でした。この当時、大きな問題となっていたのが、長州藩に対する対応です。国内においては、幕府が征長に失敗してしまいましたので、そうなると、長州藩に対する処分を今後どうするのかといえば、これを解除せざるを得ません。

 もう一つ、孝明天皇は条約を勅許したのですが、ここにも問題が残っていました。孝明天皇の条約勅許には一つ条件があって、今の神戸港に当たる兵庫だけは開港しないというものでした。横浜あるいは長崎は、京都から見ればまだ遠距離です。ですが、兵庫ないし神戸といえば、京都から見て目と鼻の先であり、この開港だけは認めませんでした。孝明天皇は前の年の暮れに亡くなるのですが、これが遺言として残っていたのです。しかし、この当時の日本の最大の商業都市は大坂でした。この大坂に隣接する兵庫、つまり今の神戸の港は、外国にとっては絶対に押さえたい貿易港であり、しかも条約によって開港すると明記されていました。


●徳川慶喜による兵庫開港問題の解決と西郷隆盛の出兵画策


 外国に対して兵庫開港を拒絶するわけにはいかないので、この問題をどう解決するかが課題となりました。そこで動いたのが、島津久光、松平慶永、山内豊信、それから伊達宗城など、安政期以来活躍してきた大名たちです。ただこの中では、久光は少し後から加わりました。彼らは幕府に対して、長州藩の処分を解除するならば、兵庫を開港できるように公家たちを説得しようという方針を示します。さらには、今後いろいろな形で重要問題の決定に加わっていけるような構造をつくろうとしました。

 しかしながら、この問題を慶喜は自力で解決してしまいます。あくまでも大名を政局の中枢に介入させないという姿勢を示したのです。こうなると、薩摩藩あるいは土佐藩としては、慶喜に屈するのか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治