明治維新とは~幕末を見る新たな史観
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西郷隆盛の復帰と島津久光の上京準備
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(10)久光の上京と西郷
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
尊王攘夷の嵐が吹き荒れる中、薩摩の島津久光上京計画により、京都は大混乱に陥る。公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏によれば、この一連の混乱は幕府と朝廷、雄藩の関係を揺るがすのに十分な出来事であった。この時、西郷隆盛はどんな行動を取ったのか。(全17話中第10話)
時間:8分28秒
収録日:2018年7月18日
追加日:2018年10月31日
≪全文≫

●長州藩の安政改革


 前回までで、この時代における幕府や雄藩の状況が理解できたと思います。ここからが、幕末の動乱の第2弾になるのですが、その特徴は攘夷の嵐です。先ほど長井雅楽という長州藩の重臣が、公武合体と開国方針を結合させた「航海遠略策」を唱えたことをお話ししました。本来、外様大名が幕政に介入することは禁制でしたが、開国路線を進めていた老中・安藤信正と久世広周は、これを受け入れました。幕府の力が弱まっていることも受け入れた要因の一つです。

 この受け入れにより、安藤老中はひどい目に遭います。「坂下門外の変」という事件をご存知でしょうか。「航海遠略策」を受け入れたことにより、安藤は久世と共に開国路線を進めていきますが、攘夷派志士らはこれに反発し、安藤を襲撃したのです。水戸藩の浪士に安藤は襲われるも、堀に逃げて助かるのですが、武士に背中を見せたことを批判され、罷免されました。


●西郷隆盛の復帰と島津久光の上京準備


 この騒ぎから、江戸が相当混乱しており好機だと考え、薩摩の島津久光が1000人の兵を連れて上京を準備します。そのアドバイスをしていたのが大久保利通でした。

 大久保は、久光への働きかけで流刑で奄美大島にいた西郷隆盛を復帰させます。実は島津家がお由羅騒ぎで大騒ぎになった際、大久保の父も処分され、収入も途絶えてしまいました。貧乏な士族であったためで生活ができない中、大久保は西郷と仲が良かったため、西郷の家が支援していたのです。今度は西郷がひどい目に遭っているということで、大久保が西郷を助けました。

 久光と西郷は仲が悪かったため、大久保はうまく久光に取り入る必要がありました。久光は碁がうまかったため、大久保も必死になって碁を勉強して打っているうちに、そっと「西郷を使っていただきたい」と言ったそうです。そうして西郷が復帰できることとなったので、大久保と西郷の間には本当の親友関係が築かれていることが分かります。

 こうした事情で西郷が復帰してくるのですが、久光に今の状況は無謀だと説きます。久光が「兵を挙げて京へ上るぞ」と言ったら、西郷は「そこまで政治音痴ですか。わが殿様は地五郎(何も分からない人という意味)です」と返したのです。久光は烈火のごとく怒るのですが、西郷は最終的には久光が失敗しないよう、京都の状況について情報を収集するため下関に向かいま...

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