明治維新とは~幕末を見る新たな史観
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吉田松陰の生涯と幕末における彼の影響力
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(11)長州の藩是転換
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
攘夷の波は長州にも押し寄せる。長州もまた、開国方針から攘夷実行へ転換していったのである。これを主導したのは、吉田松陰の弟子である久坂玄瑞であった。今回は、吉田松陰の生涯と幕末における彼の影響力について解説する。(全17話中第11話)
時間:11分07秒
収録日:2018年7月18日
追加日:2018年12月6日
≪全文≫

●長州の藩是転換


 こうした流れにより、長井雅楽によって一世を風靡した航海遠略策は非難され、破綻します。吉田松蔭の一番弟子の久坂玄瑞が、公武合体を名目に「長井は外夷との交易の勅許を得ようとする者だ」と批判したのです。長州の開国策は攘夷論の朝廷を誹謗するものだと朝廷からも批判され、長井は遠ざけられることになります。結局彼は、文久2年(1862年)6月に失脚し、翌年2月に切腹しました。

 長州は御前会議で失地回復を図るため、公武合体開国容認から、条約破棄・攘夷実行に路線を転換しました。このように、長州は意見がぐるぐる変わるので、幕末の歴史を分からなくしている要因だと思います。こうした転換の先頭に立っていたのが、吉田松陰の弟子である久坂玄瑞でした。


●吉田松陰の黒船乗船は失敗に終わる


 それでは、吉田松陰とはどんな人物だったのでしょうか。彼は萩藩毛利家の家臣で杉百合之助の次男として生まれました。その後、明倫館の兵学師範になりますが、学問知識に対する意欲の激しさは、狂気のようであったとされています。

 嘉永4年(1851年)には、江戸出府の命を受け、その後、佐久間象山の塾に入塾します。現実を直視する学問に興味を持ちました。

 松陰は水戸、仙台、米沢、会津若松など東北地方諸藩への、流儀修練を目的とする10カ月間の遊歴を許可され、さまざまな思想家に会いに行きました。しかし、出発間際に申請書に欠陥があることが分かり、それを無視して出立を強行すると、脱藩とされてしまいました。結局、それが原因で、吉田家は潰されてしまいます。

 佐久間象山を訪ねた際に、ペリーの2度目の来航のニュースが松陰の耳に入りました。松陰は兵学の師範として他国を知る重要な機会だと感じます。嘉永7年(1854年)2月ごろ江戸湾に来航した後、下田に向かうということで、松陰はそれを追いかけていきます。そして、前日に見つけておいた漁船を無断で漕ぎ出し、アメリカ艦隊に近づいていきました。漁師は警戒して櫓杭を外していたので、ふんどしの帯をいわき付けて漕いでいったのです。

 そうしてミシシッピ号に船をつけますが、ポーハタン号に移されます。漢文の手紙で交渉し、通訳のサムエル・ウィリアムズと議論するのですが、ウィリアム中佐はこの交渉を受け入れませんでした。夜中に海岸へ送り返されたのです。翌日に捕まるのは武士の面目に立たないと...

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