明治維新とは~幕末を見る新たな史観
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
海外への関心の高まりと公武合体による開国論
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(7)公武合体と開国の道
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏によれば、曲がりなりに成立した開国後に重要となったのは、政治の主導権を朝廷と幕府のどちらが握るかという問題であったという。開国によって徐々に列強国を圧倒するべきだという論調が強くなっていく中、朝廷と幕府の間にはどのような動きがあったのか。(全17話中第7話)
時間:13分24秒
収録日:2018年7月18日
追加日:2018年10月28日
≪全文≫

●公武合体による攘夷の期待が高まる


 徳川慶福は新将軍として家茂に名前を変えましたが、その時、彼はまだ13歳で、当然独身でした。そのため、殺される前の井伊直弼大老の重要な政治課題は、家茂の嫁選びでした。

 特に井伊は、家茂の嫁は皇女を迎えたいと考えました。なぜなら、天皇の親戚を幕府の嫁にすれば、公武合体、つまり皇室と武家が一緒になって一国をまとめられるだろうと考えたからです。ところが、桜田門外の変で井伊が殺されてしまったため、幕府に対して朝廷は優位になり、幕府は朝廷に一歩譲る形になりました。つまり、実は対等な関係である公武合体ではなく、朝廷がやや上の立場という公武一和になったということです。

 幕府はこの公武合体にこだわり、有栖川宮と婚約していた孝明天皇の妹である和宮内親王の降嫁を繰り返し要請しました。それを仕込んでいたのは岩倉具視です。岩倉はこの時35歳で、策略家でした。日米修好通商条約をめぐる違勅問題の際、堂上公家が中心となって条約案撤回を求めた抗議運動である、廷臣八十八卿列参事件の首謀者でもあります。

 岩倉は公武合体を理由にして、和宮は降嫁をした方が良いと主張しました。なぜなら、和宮降嫁を許可することによって、今後は外交や内政の重要な事項について幕府は朝廷にお伺いを立てざるを得なくなると考えたからです。そうすると、朝廷が常に幕府に命ずることになるので、大政委任の名義を幕府が持っていたとしても、実権は朝廷にあることになります。このような権力関係の実現は、攘夷の実現に結び付くので、孝明天皇はこれに異を唱えませんでした。

 しかし、幕府は異なる考えを持っていました。幕府は阿部老中以来、開国しなければ日本は維持できないと考えているため、ずっと開国派が主流です。そのため、朝廷に攘夷を要求された際、今後7~8年後(ないし10年以内)に攘夷を断行すると誓約し、和宮降嫁が実現しました。これが意味するのは、幕府から見れば、最低6年間は攘夷を遂行せず、朝廷のお墨付きで外国と交際し、徹底的に西洋の文明を受け入れて良いということです。その頃には、世の中の流れが変わっているだろうという見通しがあったようです。こうした流れで、和宮は文久元年(1861年)に降嫁しました。


●幕府の遣米使節団


 こうして一応、開国が実現しました。ここで面白いのは、以上のような一連の騒ぎののち、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
小原雅博
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
グローバル環境の変化と日本の課題(6)組織改革と課題解決のために
働き方改革の鍵はエンゲージメント、経営者の腕の見せ所
石黒憲彦