明治維新とは~幕末を見る新たな史観
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
19世紀の世界情勢…日本人の危機感を高めた出来事
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(4)19世紀の世界情勢
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
明治維新について考えるためには、その前提となる19世紀の世界情勢を理解する必要がある。公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏によれば、欧米列強は帝国主義によってアジアを侵攻し、植民地を増やしていったが、ペリー来航は、日本がその波の中に立たされた瞬間であったという。(全17話中第4話)
時間:15分13秒
収録日:2018年7月18日
追加日:2018年10月25日
≪全文≫

●産業革命と欧米列強のアジア進出


 ペリーが来航した19世紀において、世界はどのような情勢だったのでしょうか。次にこれを考えてみたいと思います。

 19世紀は、まさに帝国主義が牙をむいた時期でした。18世紀の後半からイギリスを中心とした欧米諸国で産業革命が起き、工業力や国力が強くなっていきます。この国力を使い、欧米諸国はアジアに進出していきました。

 最初に犠牲になったのはビルマでした。ビルマはイギリスと3度戦争をします。1回目が1824年~26年、2回目が約30年後の1852~53年、3回目がさらに30年後の1885年~86年です。この結果、アランバヤー王朝はイギリスに徹底的にやられ、イギリス領インドに併合されました。ビルマは立派な国でしたが、完全に植民地になったのです。

 また19世紀にはアヘン戦争も起きています(1840年~42年)。このアヘン戦争により、中国はかなり崩壊したため、民衆は困り果て、太平天国の乱に参加していきます。さらにその後、イギリスは中国に難癖を付けてアロー号事件を起こします(1856年~60年)。これにより、イギリスは多くの利権を奪いました。

 他方で西洋では、クリミア戦争が起こり(1853年~56年)、英仏とロシアの争いの影響がさまざまな地域に及びました。インドでもセポイの乱(1857年~59年)が起きています。1861年から65年まで行われた南北戦争も、日本の明治維新に深い影響を与えました。

 これらの史実については、中学・高校のときに習われたかと思いますが、簡単に復習しておきたいと思います。


●アヘン戦争


 まず、アヘン戦争についてです。これはペリー来航の11年ほど前、1840年から42年に起こりました。イギリスは19世紀前半に、密貿易で清国にアヘンを売り付けることで巨利を得ました。中国はアヘンを禁止しているのですが、難癖を付けられて攻め立てられ、結局1842年に南京条約を締結させられるのです。南京条約により、中国政府の貿易独占が廃止され、自由貿易となりました。広東、福建、浙江、福州、上海が自由貿易港になったのです。それに加え、イギリスに多額の賠償金を払い、香港を割譲しました。さらにその翌年(1843年)、追加条約が結ばれ、その内容は治外法権、関税自主権放棄、最恵国待遇の承認というものでした。

 これとほとんど同じ条件でアメリカ、フランスも同様の条約を結びます。これで中国はボロボロにさ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治