明治維新とは~幕末を見る新たな史観
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
近代日本の歴史的な盛衰は40年周期がある
明治維新とは~幕末を見る新たな史観(2)日本の盛衰40年周期
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
近代日本の歴史的盛衰を40年周期で説明すると、2025年に向かって現代日本は最悪の谷の時期に入っていくことになる。公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏によれば、明治維新における大変革の経験は、これを乗り越え、日本が新しく生まれ変わるためのヒントとなるという。(全17話中第2話)
時間:7分17秒
収録日:2018年7月18日
追加日:2018年10月23日
≪全文≫

●近代的日本の歴史的な盛衰には40年周期があるという説


 歴史を学ぶ目的は、未来に指針を得るということです。そこで皆さんに提起したいのは、近代的日本の歴史的な盛衰には40年周期があるという説です。例えば、1865年の日本では何があったかというと、幕末の大混乱です。4カ国連合艦隊が長州を攻撃し、薩長戦争があり、第2次長州征伐となる幕長戦争があるなど、大変な状況でした。これは歴史的には最悪の谷の時期であるといえます。

 それから40年後の1905年には何があったでしょうか。日露戦争の勝利です。ここで日本は列強になったのです。さらにそれから40年後の1945年は第2次大戦で惨敗し、焼け野原です。その40年である1985年には、日本は初めてアメリカを1人当たりの国民所得で抜いています。さらに40年は2025年です。

 40年周期説に従えば、今度はもう一度、谷になる可能性があります。今、日本は谷へ向けてどんどん落ちているのです。今回の講話では、こうした状況の中で、歴史を学ぶことによって未来の指針をつかむきっかけになったら良いのではないかと思います。


●1945年から85年の上昇期に何が起きたのか


 それでは、1945年の谷から85年に上昇した時に、何が起きたのでしょうか。まず戦後、焦土から復興しました。それにより、戦前の時代を全部否定しています。抜本的な戦後改革、つまり土地の所有権、財閥解体、教育改革が行われ、労働運動も起こりました。これらは全て戦前にはなかったことです。そして、日米安全保障条約で完全に安全保障を確保し、アメリカが市場を提供してくれたことで、経済成長も実現しました。

 しかし、もう一つ言えることは、この時期に若い力が徹底的に伸びました。人口が多かったというのもあり、技術導入や吸収およびキャッチアップ、そして革新的な産業界のリーダーの台頭とそれによる技術革新が行われました。

 政治においては、自民党にたくさん派閥がある状況でした。個々の派閥は政党のようなもので、お互いに切磋琢磨をしていたことで、政治的緊張感も生まれていました。これによって日本はアメリカをしのぐ1人当たりGDPを達成しました。


●1985年から2025年の下降期に何が起きたのか


 ところが、そこから日本はずっと下降しています。まず、バブルが崩壊しました。そして、「失われた20年」というゼロ成長およびデフレの時代を過ごしてしまいます...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫