源氏将軍断絶と承久の乱
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
承久の乱…3上皇の配流と皇室への介入というありえぬ事態
源氏将軍断絶と承久の乱(11)承久の乱
坂井孝一(創価大学文学部人間学科 教授)
承久の乱は日本史上唯一、官軍が敗北を喫した内戦である。京方を率いたのは治天の君である後鳥羽上皇その人だったが、その目的は鎌倉幕府の壊滅ではなく、トップである北条義時の交代だったと考えられる。しかし、鎌倉方の武力にはかなわず、朝廷から幕府へ権力が動き、東西の境もまた揺らいでいく。(全12話中第11話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分23秒
収録日:2022年7月13日
追加日:2022年11月20日
≪全文≫

●鎌倉殿に従う武士、朝廷に従う武士、両属の武士


―― (後鳥羽上皇と北条義時の)対立の種がいよいよ火を噴くのが承久の乱ということになってきます。承久の乱の動きを考えるためには、鎌倉殿に従う武士たちと、朝廷に従う武士の存在を考えなければいけないと思うのですが、このあたりはどういう仕組みになっていたのでしょうか。

坂井 武士たちは、関東を中心に御家人(鎌倉時代には、「鎌倉殿(=将軍)直属の家臣」の意)になっていますが、西国のほうにも武士はいて、御家人でない武士もかなりいました。さらに東国出身の御家人であっても、京都に行って院に仕える、両属関係にあるような武士も相当いました。

 それから西国守護。守護というのは有力御家人になりますが、西国守護の任地は西国なので後鳥羽の指揮系統に入る武士たちも、相当数いました。逆に言えば、そのぐらい西のほうでは、治天の君である後鳥羽上皇 が存在感を示していたということです。

 したがって、幕府の武力や軍事力といっても、やはり東日本が中心です。そこがまず大前提として重要になってきます。

 そこで、簡単に経緯を説明しますと、まず(北条)義時を排除しなければいけない。そして自分の意向を実現するような西国の御家人を、奉行として鎌倉に送り込む。これによって幕府の軍事力を乗っ取ろうとしたのが後鳥羽上皇の真意だと、私は考えています。

 軍事組織を1(いち)から作るというのは大変です。さらに、(源)頼朝の挙兵からはすでに40年以上経っているので、そのなかで積み上げられてきた組織である幕府をつぶし、倒すことによって、多くの東国御家人たちは野に放たれてしまうことになります。彼らは武力を持っているわけで、治安が乱れることは、火を見るよりも明らかです。


●後鳥羽上皇に幕府を倒すつもりはなかった?


坂井 それをするほど後鳥羽上皇は愚かではないと思います。むしろ、親王将軍を送って幕府を自分の支配下に置こうとしたのと同じように、「トップにいる北条義時を別人にすげ替えることによって、軍事組織はそのまま利用しよう。そのほうが、デメリットが少なく、メリットが大きい」と考えたのではないかと、私は思っています。

―― これは、まさに親王を将軍として下そうという発想の延長線上といえば延長線上です。いかに自分の影響下に幕府を置くかという戦略の一環ということになる...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾