源氏将軍断絶と承久の乱
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北条時政・牧の方が仕掛けた罠とは…畠山重忠の乱の背景
源氏将軍断絶と承久の乱(2)なぜ畠山重忠の乱は起きたのか
坂井孝一(創価大学文学部人間学科 教授)
幼い三代将軍・源実朝を擁立し、執権の座に就いた北条時政。権勢をふるう中、京都と縁の深い後妻・牧の方を通じて実朝の御台所選定が始まるが、そうした中、ある口論をきっかけに有力御家人である畠山氏排除をもくろむ。なぜ「坂東武士の鑑」と称された畠山重忠は打ち取られてしまうのか。(全12話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分58秒
収録日:2022年7月13日
追加日:2022年9月21日
≪全文≫

●将軍・源実朝の御台所選定


坂井 政所の筆頭別当、執権となった北条時政は、「全て源実朝の仰せである」という形を取りながら、かなり自分のやりたい放題の政策を遂行していきます。例えば、武蔵国の御家人たちに忠誠を誓わせるといった、相当行き過ぎではないかと思われるような権力の行使の仕方をするわけです。

 もう一つ、時政はもともと京都とのつながりが割と強かったのです。例えば、後妻に牧の方がいますが、彼女は京都生まれの京都育ちで、京都の人脈を持っている人です。そういうこともあり、京都に目が向いているところがあります。

 実朝がまだ12歳から13歳になる頃でしたが、時政・牧の方夫妻はそろそろ御台所を決めておくべきだと考えました。そこで、後鳥羽上皇のいとこに当たる「坊門信清の娘」という女性を鎌倉に迎えることになります。

 ここには、「実朝」という実名を与えた後鳥羽上皇がかなり深く関わっていると思われます。後鳥羽上皇は、自分の院の近親である信清の娘であればよかろうということで、自らその路線を推したのではないかと私は考えています。

 このような経緯で、信清の娘が実朝13歳の年末に、ようやく鎌倉にやってくることになります。信清の娘を迎え取りに行った使節は何十人もいますが、その中の1人として時政と牧の方の愛息・北条政範という16歳の少年が入っていました。

 ここは事情がよく分からないのですが、この政範が京都に入って数日でなぜか亡くなってしまいます。この時、畠山重忠の息子の畠山重保という人物も使節の1人でした。京都では、この重保と牧の方の娘婿である平賀朝雅の間で激しい口論が起こりました。その両方の情報が、鎌倉に(同時に)もたらされるのです。


●北条時政・牧の方夫妻の受けたショックと権力欲


坂井 自分の愛する息子が死んでしまったため、時政・牧の方夫妻は相当ショックを受けます。そうした中、畠山の息子が牧の方の娘婿に対してどうも言いがかりをつけたようだと彼らは解釈し、「けしからん」ということになります。

 そういう状況があり、武蔵国の畠山氏と時政の間がぎくしゃくするということが、元久2(1205)年、実朝が14歳になった年の年初から起こってきます。

―― 当時の武蔵国では、畠山が筆頭の有力者だったわけですか。

坂井 そうですね。武蔵国は相模国の隣であり、非常に重要な土地でした。そこに...

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