源氏将軍断絶と承久の乱
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
北条時政・牧の方が仕掛けた罠とは…畠山重忠の乱の背景
第2話へ進む
源頼家の悲劇と源実朝の将軍就任…朝廷の「官位」の意味とは
源氏将軍断絶と承久の乱(1)比企の乱から源実朝の将軍就任へ
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
源頼朝が急死したあと、若くして二代鎌倉殿になった源頼家。そこで勢力が増してきたのがその後見人になっていた比企氏だ。北条氏をはじめとする有力御家人たちとの緊張関係の中、頼家が突然、重い病気に罹ってしまう。危篤に陥る鎌倉殿の後継者をめぐって、比企の乱が起こる。ここで思いがけないことが起こる。頼家が生き返ったのだ。しかし、これがやがて悲劇へと進むことになる。源実朝が三代将軍になり、朝廷から官位も与えられる。この時代、位階が持った意味とはどのようなものだったのか。(全12話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分53秒
収録日:2022年7月13日
追加日:2022年9月18日
≪全文≫

●第二代鎌倉殿を継承した源頼家の急病と「比企の乱」


―― 皆さま、こんにちは。本日は坂井孝一先生に「源氏将軍断絶と承久の乱」というテーマでお話をいただこうと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

坂井 よろしくお願いします。

―― 坂井先生はNHK出版から『鎌倉殿と執権北条氏』と『考証 鎌倉殿をめぐる人びと』、PHP新書から『源氏将軍断絶』、さらに中公新書から『承久の乱』ということで、まさにこの時代を入口から出口までという形でお書きになっていらっしゃいます。

 本日はその中でも源氏将軍がいかに断絶してしまうのかという過程と、承久の乱を経て武士の政権がどう確立していくのかというお話をうかがえればと思います。

 まずですが、第一代将軍の源頼朝が亡くなり、源頼家が第二代将軍になります。しかし、前回のシリーズ講義(「鎌倉殿と北条氏」)でうかがったように、頼家も大きな悲劇に見舞われてしまうことになります。このあたりはどのような流れになるでしょうか。

坂井 頼家は頼朝が急死したあと、若くして二代鎌倉殿になったので、最初は大変苦労します。頼朝期以来の有力御家人がたくさんいますから、それらとの権力闘争、そして鎌倉殿としての政治。そうしたところにいろいろと対立関係があり、また、お互いの支え合いもあります。最初のうちは相当混乱しますが、徐々に頼家時代の政策が遂行されるようになります。

 その中で、頼家の乳母夫(めのと)、つまり後見人になっていた比企氏、その当主は比企能員ですが、彼の権力が上がってきます。

 本来であれば、北条氏の勢力はそのまま削減されていくはずだったのですが、ここで思わぬことが起こります。頼家が突然、重い病気に罹ってしまうのです。これは歴史の不思議です。別に毒を盛られたわけではないのですが、突然病に倒れ、しかも病状はどんどん悪化していきます。

 そうなると、次の鎌倉殿を誰にするかという話になります。頼家には子どもが何人かいましたが、最初に生まれているのが比企能員の娘を母親にしている一幡。2番目の男の子の母は賀茂重長の娘という人で、源氏の血を引いています。この子はのちの公暁(こうぎょう)ですが、当時は善哉(ぜんざい)と呼ばれていました。

 このどちらかが後継ぎとしてふさわしいわけですが、まだ6歳と4歳で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一