源氏将軍断絶と承久の乱
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徳政、御成敗式目の制定…北条泰時が成し遂げたこととは何か
源氏将軍断絶と承久の乱(12)新たな朝幕関係と北条泰時政権
歴史と社会
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
承久の乱は、朝廷と幕府の関係にとって劇的な転換点であった。朝敵と名指しされつつも戦いに勝利した北条義時は、乱の3年後で急死。息子の泰時が三代執権を引き継ぐ。徳政に徹した泰時は権力を独占せず、評定衆による合議制を取り入れ、また、武家の最初の法典「御成敗式目」も制定する。北条泰時が日本の歴史に残したものとは何だったのか。(全12話中第12話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分50秒
収録日:2022年7月13日
追加日:2022年11月27日
≪全文≫

●北条義時の跡を継いだ北条泰時の「仁政」


―― そうすると、(承久の乱で)朝廷と幕府の関係がガラリと変わります。平家の時代やその後の源頼朝の時代にも、京都の院政と武士との綱引きのような様相が見えるところが何回かありましたが、これで完全に日本の国のかたちが変わったということになるのでしょうか。

坂井 承久の乱が一つの劇的な転換点だったことは間違いありません。この後、朝廷の側が幕府を凌駕するようになるのは明治維新まで待たなければいけないわけですから、本当に本質的な変革であったということができます。

 ただ、鎌倉時代の間だけをとってみると、まだまだ、京都は文化的にも経済的にも、ずば抜けた先進地域でしたので、カチッとスイッチが入って、西国に対して東国が優位になったとまでは言えないというところです。ここは、徐々に浸透していくという歴史の流れを理解しなければいけないと思います。そのためにはある程度、平和が続かないといけないし、規範というものが作られないといけません。

 北条義時は追討対象、つまり「朝敵」になったわけです。朝敵になってもなおかつ、(北条)政子の演説などいろいろのことがあり、後鳥羽方の京方を打ち破って変革を成し遂げた、歴史的な人物だったわけです。そのストレスなのかどうか分かりませんが、承久の乱の3年後に亡くなってしまいます 。その跡を継いだのが、ちょっといろいろありましたが、北条泰時 です。

 泰時は六波羅探題としての経験 をもとに、鎌倉に戻ってきて仁政(徳のある政治) を行っていくようになります。義時とは違い、泰時の場合は兄弟の中でもライバルになる人たちがいました。そのため、泰時はあえて自分だけが特別に図抜けた権力を握ろうとはしませんでした。むしろ、いろいろな人に配慮して、合意を得て、事柄を進めていく方向性を模索するような時代をつくっていきます。


●評定衆による合議と「御成敗式目」の制定


坂井 (当時は)まだ三寅も幼く、元服は9歳ぐらいでするものの、まだまだ独立して将軍権力を行使することはできません。そこで「評定衆」という有力御家人たちが集まって評議をする。しかも、そのときの発言は「くじ」で選び、上下関係を作らないようにして評議をするというようなことを決め、合議制によって話を進めていく。合議であるがゆえに、その結論には「意味」も「力」もあるという...

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