徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
今も残る「駿河本」は徳川家康が文化の維持に貢献した証
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編(3)写本と文化の維持
徳川家康は非常に実務的な政治家だという印象が強いが、実は文化という面でもその維持に貢献した人物であった。それは家康が重要な書物を写本させたところにも表れている。それが今でも「蓬左文庫」「南葵(なんき)文庫」などとして残っている。(全5話中3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:6分10秒
収録日:2019年12月26日
追加日:2021年1月23日
≪全文≫

●火事に備え、貴重な書物を写本させていた


山内 例えば、目立たないことだけれども、徳川家康が江戸幕府を開いて最初にやったのは、「武家諸法度」という、武家を統制していく法律です。もう一つ並んで、「禁中並公家諸法度」という、朝廷、天皇、あるいは公家に対してコントロールしていく、そういう法もつくっていきます。

 そのときに、いろいろな前例、等々を知らなければいけない。そこで、『貞観政要』、『群書治要』といったようなものを始めとする中国の文献だけではなくて、日本の『禁秘抄』という順徳天皇等々が関係したような文献。さらにずっと遡っていくと、『日本書紀』や、『続日本紀』等々の『六国史』を始めとして歴史書などにも、彼はたくさん関心を持って、読むわけです。

―― それは自分で読むのですね。

山内 読みます。そして読むだけではなくて、今、われわれは刊本といって、こういう本で読むことができるけども、当時は基本的に写本の世界だから、写していくわけです。ですから、貴重な本や、古代や中世の本も、写本で伝わるわけです。そうすると、一番怖いのは火事なのです。ですから、いろいろと写していくわけです、写本といいますが、写すときに写し間違えが起きたりもするから、最終的には校訂などそういうことをしないといけない。けれども、ともかくそれを写させたりするのです。

 公家のもとや、朝廷にあるような、そういう本なども出させるのです。それをきちっと組織立って、写していくという作業をするのです。それをもとにして、禁中並公家諸法度をつくる。根拠なしに作るのではないのですよ。こういうふうに、ここにはこう書かれている。ここには斯くの如しと。ですから、天皇というのは学芸を専らにするべきことだというようなことは、いろいろなところに根拠を持って言うわけです。

 しかもあれは、政治をしなくていいですよという意味で、天皇は学芸や学問を専らにするべきというのではないのです、よく誤解されるけど。天皇がきちっとした天皇としての役割を果たしていくためには、天皇独自のそういう政治責任や、統治責任をきちっと自覚していただかないと困りますと。その自覚のために勉強してくださいという意味なのです。

 そのためにいろいろな、天皇家、朝廷、公家の各家に伝わっているようなものを出させて、それを写す。それで編纂していくというような作業...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政