徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
門閥譜代と側用人――将軍によって変化する幕府の権力構造
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編(5)将軍の教養と政治への影響力
政治家にとっての教養の意義は、それを統治に生かすことにある。徳川家康・綱吉・吉宗という高い教養を有する三人の将軍はそれぞれ教養を、政治においてどのように生かしたのか、あるいはそれがどう政治に影響を与えたのか。また、綱吉と吉宗の政治においては女性(母)の影響力という観点からもその内実を見ていきたい。(全5話中5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分25秒
収録日:2019年12月26日
追加日:2021年2月6日

●高い教養と知識で学者と張り合った5代将軍の徳川綱吉


山内 それから、徳川家康に次いで私が偉いと思うのは徳川吉宗です。彼は和歌を詠ませても下手だとされているし、そもそも茶の湯なども苦手だったと、気の毒なぐらいそう思われています。だけど、紀州の藩主から将軍になる人間が知らないはずはない。ちゃんとできるんですよ。できても、家康や吉宗の持っている政治家としての個性があまりにも強烈だから、それが小さく見えるというだけの話です。

―― それで小さく見えちゃって、ものすごく損しているのですね。

山内 学者と同じように張り合った人間、自分のほうができると思ったのが、5代将軍の徳川綱吉です。綱吉は、だから彼の学識というのは、おそらく15代将軍を通して、一番優れていた男ですよ。彼の学問というのは。教養、知識。

―― 自分で講義していたわけですからね。

山内 する。それから自分で解釈もする。彼の喜びというのは、そういうことを喜んだから、自分も知識があったのでしょう、唐音で講義させる。唐音というのは中国語ですね。原音でするわけです。それを荻生徂徠や柳沢吉保といったブレーンたち、それを自分の周りに呼ぶのですよ。そうして、それで唐音で議論させたりして、それを聞いて喜ぶし、理解できるわけです。自分でも自ら講義・講演をやっていく。『易経』の講義は最初から最後までやって、ちゃんと完成したりするわけです。

―― 『易経』でそれができるわけですね。

山内 終わったときに完成祝いをした。もちろん何年もかかって、ですよ。それをちゃんとやっていく粘り強さと、そういうことをやっていく力量があった。とはいえ、もちろん殿さま芸といえば、殿さま芸ですよ、基本は。

 だけど彼の場合は、やはり聖人の学。そういう孔子以来のそういう儒教、儒学、これを知識としてだけではなくて、そこで語られている、さまざまな理念や理想、これを政治に生かしたいという、彼なりの強烈な意識があったわけです。そういう点でいうと、大変な個性がある。しかも学者と同じぐらいの力量をもって、それをやろうとしたわけです。これはある意味では、政治家を超えているわけです。

―― 超えていますね。

山内 そうすると、普通の政治家はたまらないわけです。老中以下、若年寄から奏者番からいろいろな役職の人たちが、これを畏まって聞かされるわけですから。

―― 動かな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓