徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編
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阿部正弘は理想的政治家なのか…その能力と評価の真相
徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編(4)政治家としての評価
「阿部正弘こそまさに理想的政治家」と評価する人もいるが、では阿部正弘は「中庸」の人といえるのか。開国の決意を胸に秘めながら、現実にはその大きなブレーキとなる徳川(水戸)斉昭を幕閣に招き入れた阿部正弘。その八方美人的な身の処し方からは、「郷原」の疑いも感じられるが、実際に何をなしたか政治的に分析していくと、現代にも通じる「狷者」としてのふるまいが浮かんでくるが…。(全5話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分47秒
収録日:2021年3月29日
追加日:2024年3月30日
≪全文≫

●阿部正弘は狂者なのか、狷者なのか、それとも郷原なのか


山内 このように考えていくと、阿部正弘とは何だろうという点はどう思いますか。

―― 阿部正弘は徳川(水戸)斉昭に気に入られ、松平春嶽にも島津斉彬にも気に入られ、大奥にも気に入られた。そして、改革派の若手にもそれなりに人気がある。けれど、阿部正弘が去った後の人たち、堀田正睦や安藤信正や井伊直弼がみんな大変な目に遭っているというのは、確かにいわれる通りですね。

山内 やはり水戸斉昭という、現実政治にはかなりそぐわない面も持っている人物、全部そぐわないというわけではないが、そぐわない面を持つ人間を幕府の中に入れたのが、政治家としては致命的とはいわないまでも、かなり人の見る目によって評価が違うことだと思います。

 私からすると、彼はとうてい成り立たないことをやった。阿部正弘は開国というようなことまで決意して、幕府の通商貿易というようなところまで踏み込む意思でいました。しかし、その一番ブレーキになったのは誰かというと水戸斉昭ですからね。

―― そうでしょうね。

山内 そういう点について今日は十分に話ができないですが、阿部正弘がどういう人だったのかというのは非常に面白い問題です。

 そうすると、この類型の中で、神藏さんはどのあたり(だと思いますか)。

―― これは、やはり厳しくいえば4番目の郷原の人になってしまいますね。

山内 郷原。

―― 狂者でもない。

山内 けれど、一般的に皆さんは、阿部正弘のことを「中庸の徒」だというイメージを持ちがちですね。

―― はい。大奥でも人気があったように、たぶん今の言葉でいえば、たいへんイケメンの人ですよね。

山内 そうです。私はまだ少し考えていて答えを出せないでいるのですが、こうやって見ていくと阿部正弘がこのような総合力として達観したものを持っていたかどうか、やや疑わしいような気がしてきました。

 ただし、もちろん阿部正弘は狂者ではない。そうかといって、阿部正弘が郷原かというと、それは酷ではないか。阿部正弘が決断しなければ進まなかった面がいろいろあり、実際に幕府政治を動かしていった。何よりもペリーの国書を受け取り、次の年に和親条約を結んでいくという第一の決断をした。

 いろいろ阿部正弘のビヘイビア(behavior:行動・態度)を見ていくと、私はやはり3番目の狷者で...

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