徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
阿部正弘は中庸の人なのか?指導者に重要な「狂と狷」
徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編(2)狂者と狷者
阿部正弘の使命は政治を安定化させることだったが、彼の行動は大奥や開明派を呼ばれた人たちとうまくふるまう、いわば「八方美人」的なもの。では阿部正弘の政治家としての本当の力量はどうなのか。問題が山積した中、亡くなった阿部正弘と指導者の本質について、少し視点を変え、モンテーニュの言葉や『論語』などをヒントに考えてみたい。キーワードは狂、狷、中庸(中行)である。(全5話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分43秒
収録日:2021年3月29日
追加日:2024年3月16日
≪全文≫

●「八方美人」阿部正弘の残した問題が山積


山内 政治を安定化させる、あるいはそれを使命とするというのは基本的にどういうことかというと、第一に極端な意見を吐かないということです。

―― なるほど。

山内 それから第二、誰とでも仲良くする。第三に、当たり障りのない政策や意見をすること。

 これらを分かりやすい言葉ではなんというか、「八方美人」といいます。そういう八方美人的な要素を持っていないと務まらなかったときに、阿部正弘という希有の人格者、希有のバランス感覚の持ち主、希有の「中庸」の持ち主が現れた、あるいはそれを登用したということです。

 しかし今、八方美人という言葉を使ったように、本当のバランス感覚や中庸というのは、そのように誰とでも仲良くできる、誰からも文句が出ないようなことをいうことなのか、それが政治家としての本当の力量かどうか。ここを、世の中や私たちは誤解しているかもしれない。

―― なるほど。面白い視点ですね。

山内 というのは、彼らは大奥と当然うまくやるわけです。それから、島津斉彬や越前の松平春嶽(慶永)のように、当時としては開明派といわれつつ、公にはまだ攘夷論に立脚しているような大名たちともうまくやる。そして、なんと幕府最大の不安定要因でもあった水戸の徳川斉昭ともうまくやる。こんなこと、普通できますか。

―― あり得ないですね。

山内 あり得ないでしょう。ただ、そのあり得ないことが阿部正弘にはある程度できた。では、物事は進んだのか、物事はそこで決定的に改良されたのかというと、必ずしもそうとはいえないところがある。そこが、(後世の)われわれがものを考える場合のポイントです。

―― なるほど。

山内 阿部正弘の時代、彼が本当にみんなの評価するようなレベルの人間だったとすれば、井伊直弼があのような悲劇に遇い、桜田門外で非業の死で倒れる前に、あるいは堀田正睦、安藤信正等々が罷免され失脚したり、坂下門外の変で傷を負ったりするようなことになる前に、問題解決の緒に就いていたかもしれないわけです。

 ところが、「問題を山積」というと非常に酷な言い方になるけれど、阿部正弘は問題を残して死んだわけです。ですから、そういう理由なり原因をならしめた阿部正弘という人はどういう人だったのかというのを見ていくことになります。

―― そうですね。これはとても面...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
信長軍団の戦い方(1)母衣衆と織田信長の残忍性
織田信長を支えた母衣衆に見る戦国のダンディズム
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(8)10分解説!第二の人生の仕事革命
年金の「働き損」解消時代!第二の人生を充実させる方法とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『孫子』を読む:地形篇(3)逆命利君の教えと絶対的勝利の条件
逆命利君か従命病君か――漢の時代から伝わる重要な戦略論
田口佳史
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(5)SNS社会と「二宮尊徳的」時代の終り
「既読」への不安…SNS社会にみる日本社会の混乱の要因
與那覇潤
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
新撰組と幕末日本の「真実」(8)戊辰戦争~明治期の新撰組の魂
受け継がれる魂…戊辰戦争での奮戦と自由民権運動の情熱
堀口茉純